男の痰壺

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クリシャ

★★★ 2021年6月19日(土) シネヌーヴォ

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監督の親族たちが出演者だという。

そういう手抜きめいた選択にしては、この主人公クリシャを演ったクリシャ・フェアチャイルドというオバサンは強烈である。て言うよりこのオバサンがいるから撮ったんちゃうかとさえ思わせる突き抜け方だ。

家族の崩壊劇は瞬時にカサヴェテスの映画を想起させるし、となればクリシャは容易にジーナ・ローランズとかぶるのであります。

いや寧ろ、クセありそうな親族=出演者のなかでもこのクリシャ、一際の異物感を漂わせてジーナ・ローランズを凌駕してるかもしれない。何つっても彼女、手の指を1本欠損してて、それが剣呑な予断を抱かせる。

 

とまあ、序盤から中盤くらいまでは傑作の予感を孕みつつ期待を抱かせるのだが、どうにも終盤にかけての収束が期待値を大きく下回る。

それは、クリシャを謎めいた存在として風呂敷を広げすぎた為と思われる。

 

【以下ネタバレです】

単なるアル中女の自壊譚であったという収束は、映画として過不足ないものなんだから、そういう結末への肉付けが中盤以降にもう少し欲しかったし、広げた風呂敷を畳んでおいてほしかった。

詰めの甘さは若気の至りと思われます。

 

家族の崩壊劇を身内総出で撮ったものらしいがタイトルロールクリシャ・フェアチャイルドの突き抜けた異物感が強烈で擬似カサヴェテスと一線を画す。しかし彼女の存在に負いすぎ広げすぎた風呂敷を畳みきれず収束が遊離してしまう。若気の至りだろう。(cinemascape)

 

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