男の痰壺

映画の感想中心です

東京战争戦後秘話 映画で遺書を残して死んだ男の物語

★★ 2017年7月29日(日) シネヌーヴォ
イメージ 1
69年の国際反戦デーの新宿街頭デモの様子が描かれるのを見て、これは、60年安保のど真ん中で作られた「日本の夜と霧」の10年後に、それと対置される映画になるんじゃないかと思ったのだが…。
ど真ん中の最果てで作られたかのような映画だ。
まがりなりにもマクロな状況を変えることを期した運動の成れの果て。
正直、糞の足しにもならない物語。
個に矮小化された苦悩はみみっちい。
 
コンセプトは良い。
死んだ男の撮ったフィルムをトレースする旅路ってのは如何にも映画チック。
ただ、そのフィルムの映像があまりに凡庸で、凡庸なことに意味を求めるってのは余りに独善的だ。
大島の行き詰まり感が如実に出ている。
撮影 成島東一郎。
美術 戸田重昌
音楽 武満徹
この顔ぶれでこれかよって出来です。
 
映画は前述のコンセプトから更にひねりまくる。
死んだ男も撮られたフィルムも妄想かもっていう迷宮世界に突入する。
っていうとリンチみたいでおもろそうなのだがね。
ひたっすらに眠い。
 
60年安保ド真ん中で撮られた『夜と霧』の10年後に於ける対置作として企てられたのだが熱波は去り己も醒めてな~んにもなくって御免なさいってなもんである。遺書であるフィルムには写すべきものは無く迷宮への誘いに大島自身が嵌まり込んで漂泊する。(cinemascape)