男の痰壺

映画の感想中心です

映画大好きポンポさん

★★★ 2021年6月9日(水) TOHOシネマズ梅田9

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「これ読んどけ」とポンポさんに脚本を渡されたアシスタントのジーンが、帰ってきた彼女に感想を聞かれてしどろもどろにあれこれ言うけど、結局どこが一番良かったのと聞かれて1つのシーンを言う。「ふーん即答したね」とポンポさん(by心の声)。

 

ウェブ漫画が原作らしいが、当然読んでません。でも、何かの評で原作の世界観を大きく拡張してるみたいなのを読んで「ビューティフル・ドリーマー」を期待したのだが、既存の世界の枠に留まる物語でガッカリしました。

 

上述のシーンとか、気の利いたところもあるけど、どうやろかと思うところも多い。

新作の監督に抜擢されたジーンが、どうして自分が選ばれたかと問うと、ポンポさん曰く「1番、目が死んでたから」と。なんでもイケイケの青春を謳歌してきたやつらはダメでオタッキーな根暗イジケ野郎が映画作りには向いていると。

まあ、全てのバーチャル世界に埋没するオタッキー野郎にとって天啓のようなお言葉ですがね。現実は違うよな。根暗イジケ側だった俺はそう思っちゃいます。

 

映画制作にまつわる話といっても、これはハリウッドのような巨大資本で世界マーケットをターゲットにするような映画で、日本的な映画制作とは根本的に違う。

編集作業を大きくフィーチャーしてるが、アクション繋ぎの1コマ2コマに拘るシーン内編集ではなく、何100時間も撮られたフィルムを詰めていく作業で、そこには余り興味はもてなかった。

 

この映画のオリジナリティは一重にポンポさんの特異なキャラで、伝説的プロデューサーの孫娘にして商業映画制作の全てを熟知している映画に愛された申し子らしいが、見た目ガキであり、でもそんな彼女のブレなさが映画の背骨を確かなものにしているアンビバレンツ。

プロデューサーと監督との、或いは監督と役者とのせめぎ合いはある程度は面白かった。

 

死んだ目をしたオタクこそ映画制作向きとの牽強付会やアクションの醸成を旨としない断捨離編集が映画作りとした勘違いなど引っかかるが、映画に愛された申し子ポンポさんの裏の裏行く特異なキャラが背骨が通っていて、そのアンビバレンツが流れを牽引する。(cinemascape)

 

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