★★★★ 2019年6月13日(木) 大阪ステーションシティシネマ11
穴が多い映画であり、駄目じゃんってのも十分にわかる。
原理主義的な人物を、あいまいなグレーゾーンで生きるしかない我々の現実世界に投入する。
で、どうなるか…ってのが、おそらくは何とか攻めないといけなかった部分。
週刊誌のルポライターが町田くんについて書く文章は「この世界は悪意に満ちている」という書き出し。
そういう社会性を、ラブコメチックな本筋にどうからませ、上手くすれば世界が拡張できるかもしれない。
でも、そういう片鱗はバス内で席を譲るとかの程度にとどまる。
で、結局は「劇的な善人」の町田くんの特性は、彼女が自分のこと好きなのかで「わかんなーい」程度の事象に関与するだけなのだ。
ではあるが、それでも、この映画は好きか嫌いかっていうと嫌いじゃない。
それがなければ、なんやねん曰くありげに登場しやがって単なるツンデレ女やんけの陥穽に陥っていたところだ。
河原での、行ったり来たりの追っかけ芝居のロングショット。
ああいうのも、久々に見た気がする。
度胸がないとできない演出だと思う。
原理主義な人物が悪意と善意のグレーゾーンで生きるしかないリアル世界をどう穿つかに関して所詮ラブコメに矮小化せざるを得ない意あって力足らずなのだが、敦子&充希の三十路前女子高生が両者の中間で寓話を成立させる。変態性が凡化を食い止めた。(cinemascape)