男の痰壺

映画の感想中心です

ライオン・キング

★★★ 2019年9月2日(月) 大阪ステーションシティシネマ

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アニメ版は未見です。

であるから、どんな話なのか知らずに見たのだが、手塚治虫の「ジャングル大帝」との類似がとやかく言われたことは何となく覚えている。

しかし、これは、やっぱ違うものだと思う。

子ライオンの父への思慕や母への恋慕といった情緒的な要素は驚くほどない。

 

骨子は身内同士による王家の跡目争いで、それは中世のヨーロッパの各種の伝承やギリシャ悲劇みたいなもので、世界観はおどろくほど狭い。

ただ、それを、ディズニー的なサブキャラを配して描くので、肝心の骨肉相食む要素は希釈されてしまう。

なんだか、物語のダイジェスト版を見たかのような味気なさです。

アニメであれば、おそらくコメディ要素が自走するのがそれほど不自然ではなかったのかもしれんが、これは超実写と称するリアルCGで、それだったらコンセプトははなっから変えるべきだったと思うのだ。

懊悩やその果ての決意や振り絞る勇気や果て無き憎悪といった重~いものテンコ盛りにしてほしかった。

まあ、それじゃファミリー層を逃すんだが。

 

だいたい、このシンバっていけ好かないガキじゃん。

王の息子であることに安住して、「これ全~部ボクのもんになるんだね」とか何ほざいとんねんと思うし、そのくせ親の言うこと聞かないし、放逐されたらされたでテキトー連中に感化されて苦しい真実から逃げまくりやんか。

共感度低すぎです。

 

CGは確かにすごい出来です。

しかし、10分もすれば慣れちまって殊更な感興は失せる。

 

リアルをトレースすることに感けて物語を根っこから掘り起こすことが疎かで何の感動もない。臣民を放っておいての親族感の跡目争いはギリシャ悲劇の荘厳でもあればだが、肝心のシンバが呆けたアホ坊めいてシャレにならない。漫画が穏当な突き詰め甘い世界観。(cinemascape)

 

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