男の痰壺

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音楽

★★★★ 2020年4月2日(木) シネリーブル梅田2

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ズバリ「音楽」というシンプルなタイトルが表すように、人類の初源的な音楽との出会いみたいなのを描こうとしている。

のだと思います。

 

喧嘩くらいしかやることない不良の3人が、ひょんなことから手に入れたベースをきっかけにバンドをやろうとする。であるが、彼らは音楽や楽器の知識ゼロなのだ。

練習だってことで、ベース2個とドラムの太鼓1個で音出してみる。瞬間、脳と内臓を直撃する振動が彼らを魅了する。ひたすらにベースをベンベンとドラムをドンドンを繰り返すことに没入する。メロディはもとより、ビートも何もあったもんじゃないが、彼らは気持ちいい。

「2001年」の猿人ミーツ道具を思わせるような人類ミーツ音楽のオリジンを思わせる。

 

同じ校内で彼らのバンド名「古武術」とカブる「古美術」なるメンバーがいて小椋佳ばりのシクラメン系フォーク志向の彼らが、古武術の演奏を聞かされる。なんですかこれの苦笑混じりのリアクションかと思いきや、コペルニクス的価値観の転倒に見舞われる。

このへん、白人ミュージシャンが黒人のリズムアンドブルースと邂逅してロックミュージックが生まれた衝撃を彷彿とさせる。

ダリの絵の中を脳味噌チュドーンみたいなベタな表現がツボで、ガハハと声出して笑ってしまったのだが、例によって俺だけでした。

 

7年もかかって1人で全部作画して作り上げたそうで、労作だが、クライマックスの町内会の催しみたいなロックフェスの凄まじいグルーヴでものの見事に報われた。

 

ビートやリズムの発見でなく臓物や脳細胞を覚醒させる音との出会いという原始猿人的なとこから始まるのだが、古武術ならぬ古美術の彼が真理に気付かされて変容する過程こそが裏テーマ。そしてオフビートな世界の町内会催しが一気に狂熱のビート天国と化する。(cinemascape)

 

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