★★★★★ 2020年7月5日(日) MOVIXあまがさき6
撮影がヴィットリオ・ストラーロに代わってからの「カフェ・ソサエティ」と「女と男の観覧車」に何となく違和感を感じて、演出意図と撮影戦略が噛み合ってないような印象で、なんで撮影者変えたん、と思ったりしたが。
まあ、そもそもにアレンのフィルモグラフィをあらためて見ると、定期的に撮影担当者を変えてきているのがわかる。馴れ合いを好まないか、新たなアイデアの触発を欲してるのか。にしては、ストラーロは大家であるが何分爺いであるし、爺い同士で組んでもどうなん、と思ったりしてました。
今回、主人公のモノローグから始まる馴染みの文体で、舞台は現代のニューヨークと、まさに何度目かの本卦還りだが。
エル・ファニングの初出シーンで、おおーっと思いました。画面奥から歩いて来た彼女がシャラメと話す。立ち話で、ベンチに座って、再び立って、そして歩きながら話し続ける。これをワンカットでやってる。アレン映画で、こういうのはあんまり記憶がありません。
なんか、爺い同士の感性が遂に前向きで同期したみたいで、今回はいける!かもと思いました。
まあ、お話は田舎の大学からニューヨークに出てきたカップルが、離れ離れでそれぞれアバンチュールみたいなやつで、そこに得意の業界ネタを絡ませ全く澱みありません。
マエストロの定番料理を久々に満喫しました。
ミートゥーの余波で干されたアレンでしたが、この映画でエル・ファニングもセレーナ・ゴメスも終始超ミニスカートをはかされている。親爺である俺にとってはウヒウヒの喜びなのですが、スケベの本質嗜好をこうまで露呈させて怖いものなしのアレンの開き直り。
畏敬の念を禁じ得ません。
業界人の身内ネタに振り回されハイにテンパる彼女と同じ街で濡れそぼつ雨のなか彷徨する年甲斐もないロマンティシズムの吐露。しかし、それは霰もないミニスカ天国へのスケベ心と同心円だった。本卦帰りの軽妙洒脱が十全でストラーロとの息も漸く合致。(cinemascape)