男の痰壺

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パーフェクト・ケア

★★★ 2021年12月6日(月) なんばパークスシネマ8

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金持ち老人を喰い物にする。ってのは、俺のような貧乏老人からすれば溜飲が下がる話。のはずだが不快感が先行する。

何だか、重心の置き方がハンパである。

この設定なら、老人たちを喰い物にされて当然のクソ野郎にするか、もしくは主人公を共感無用のクソ女にするかだが。

 

確かに酷い女には設定されている。だが、彼女の上手を行く対抗勢力が出てくると、地獄に堕ちろクソ女っつう気持ちが徐々に減衰し、頑張れとか応援してる始末。どうにも、物語の建て方が煮詰まっていない感じだ。

 

獲物を見つけてカモるやり方も全般強引で、これじゃ被害者は遍く彼女に対してサギられてることを認知してしまうんじゃないか。粗いと思う。

 

ロザムンド・パイクとしては「ゴーンガール」の変奏キャラで殊更新味はない。あの映画では底の全く見えない計り知れなさがあったけど、本作ではきっちり底は見えます。

 

サギに気づかせない矜持はなく余りに強引な捻じ伏せ手法に抱いた反感と嫌悪は、新たなプロヤクザの登場で立場が逆転し雲散する。どっちもどっちが形成するドラマトゥルギーを昇華させる何物かは存在せず心は退いていく。ラストの帳尻も一応つけただけみたい。(cinemascape)

 

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