男の痰壺

映画の感想中心です

大河への道

★★★ 2022年5月23日(月) 大阪ステーションシティシネマ

もう10数年前になるが、寝ても覚めても「景子景子あー景子ちゃん」の熱病に冒された時期があって、そのきっかけが、単に空き時間にちょうど嵌まるからという理由だけで見た映画「花のあと」であった。その後、彼女の映画をずいぶん見たけど「花のあと」の後光が差し込むような現人神なご尊顔には再び出会えなかった気がします。

 

今回の監督は、その「花のあと」の中西健二なんですが、やっぱこの人、景子ちゃんをどう撮れば映えるか本能的に知ってるやなかろうか。本作の彼女は実にお美しい。眼福でありました。

 

現代パートと江戸時代をカットバックしながら話が進む構成なのだが、そもそもに、現代パート要る?と思いました。

伊能忠敬は、実は日本地図完成前に死んでいた。で、残された者たちはその死を秘匿する必要があった。充分にサスペンスフルな展開だと思います。主役は伊能の仕事を監督する立場にあった幕府天文方の高橋景保であり、隠匿にまつわる彼の懊悩も充分にドラマチックだ。

 

全篇、伊能は登場しないし、彼に目をかけていた徳川11代将軍家斉も姿を見せない。この不在の歴史上の偉物たちが物語を折にれて転がしていく。粋な作劇だと思います。

 

コメディ基調の映画で、中井とマツケンの随所の掛け合いも出来る者同士の揺るぎない至芸と言っていいと思います。

 

中井・マツケンジャムセッションが魅せるがでも尚現代パート要らんかなと思わせる時代劇仕様の景子ちゃんの後光刺すご尊顔。不在の伊能・家斉がアンカーとなり緩い作劇に重心をもたらす。何より日本沿海輿地全図は偉業であった。それが伝わる。(cinemascape)