男の痰壺

映画の感想中心です

犬神の悪霊

★★★ 2022年8月9日(火) 新世界東映

近年、本作に対してカルト的な評価をする向きもあるらしいが、70年代の公開時の雰囲気は「犬神家の一族」のヒットに便乗した東映のバッタもん映画であった。であるから真面目な高校生だった俺は当然見てません。「スター・ウォーズ」とかいう映画がアメリカで大ヒットしてるらしいってことで、本家がくる前に「宇宙からのメッセージ」を深作に撮らせた東映やもん。

 

でも、驚いたことに伊藤俊也は企画が浮上する前に相当なリサーチをして本作の叩き台になる脚本を仕上げていたらしい。それがどうひん曲がってこんな奇天烈なものになったのかは知る由もありません。これは、日本に於ける邑社会の閉鎖性がもたらす因業譚であり、それにハイパーナチュラルな要素をごった煮のように詰め込んだ伝奇ロマンと言え、そういう意味で同じ70年代の「野生の証明」や「八つ墓村」と並べてみるのが据わりがいい。

 

ただ、伊藤俊也が「さそり」で見せたキッチュが突き抜けたような美学の片鱗も伺えません。「オーメン」や「キャリー」なんて敵にもならないと豪語してたそうやけどね。それこそあんたが祟られとったんちゃうのんってことです。

 

日本邑社会の閉鎖性と被加虐構図は因襲と怨讐に塗り固めた側から鶴瓶打ちされる奇天烈なハイパーナチュラリズムに持っていかれる。もはや何が飛び出すかの予断不可能な後半の展開には大人しく身を委ねるしかない。ど本気すぎた伊藤演出は祟られて散った。(cinemascape)

 

 

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