★★★ 2019年2月24日(日) 新世界東映
なんというか、一種のとんでも映画に近い気がする。
かっちりした剛速球投手のイメージがある内田トム御大だが、これは変化球連投のサブマリンみたい。
のっけから富士が噴火して天地が鳴動する。
って京でその噂が伝聞されるだけだが、変異は京にも及び、天下の陰陽師、加茂保憲が参内することに。
彼は朝廷の分裂を予見する。
そして、一家相伝の秘伝の巻物をめぐって2人の筆頭弟子が争うのだった。
って話はいったいどうなってんってくらいに、中盤以降、天変地異や巻物はどーでもよくなってしまう。
嵯峨三智子3役ってスゲーと思ってたら、双子の姉妹とその妹の方に化けたキツネの役。
その3役が、あっけなく死んでいって、物語は転がりに転がるのであります。
で、一方主役の大川橋蔵は序盤で狂って、その後、ずーっと狂いっぱなし。
浄瑠璃に疎い俺なんで、こういう女使い捨ての価値観は、そういった世界ではアリだっただろうか。
いってみれば、スーパークールとも言える。
導入を司る天変地異と宮廷の政乱は置き去りにされて駒の使い捨てのように女が入れ替わっていく。瑳峨の3役と橋蔵物狂いでカモフラージュされるが浄瑠璃の剣呑な世界観は居心地悪い。それに輪をかけてアニメ・仮面・舞踏の混在は吐夢乱心の趣き。(cinemascape)