男の痰壺

映画の感想中心です

一度も撃ってません

★★★★ 2020年7月3日(金) 大阪ステーションシティシネマ10

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結果、芳雄の遺作を撮っちまった阪本順治が、なら蓮司のもと思ったかどうか知らんけど、老人同窓会と化した出演者の顔触れもゲンナリであるし、阪本の最近のフィルモグラフィもてんでしっくりこない。見るの止めよかと思ったが、予想に反してタイトに締まった好編だった。見て良かった。

 

ハードボイルド親爺が、グラサン外して煙草を置いたら、その実ありゃまあレレレのレーという緩いコメディの予想は、冒頭の真正殺しのシーンで良い意味で裏切られた。

そして、映画はマジとシャレの境界線上を絶妙のバランスを保ちつつ、それでも逸脱の危惧を孕みながら擦り抜けていく。

丸山昇一としても久々の虚実ない混ぜワールドで、「遊戯」シリーズより寧ろ「ヨコハマBJブルース」の世界観を思わせる。

 

老人化した出演者陣、わけてもかおりが痛痛しかったらどしよーの懸念があったが、大丈夫だった。まだイケると思った。

 

亭主の裏の顔とそれに疑念を持つ妻。

ありがち設定なのだが、この映画、そこだけはマジ路線っぼくて針で心臓つつかれる気分だった。勘弁してほしいと思った。

 

マジとシャレの均衡線上を行き来する丸山脚本を滋味が馴れ合いを辛うじて封殺した老人同窓会が演じるメタ構造がスリリング。俺たちは決して安穏に終わらぬという決意の表明が彼方にいる原田への連帯に繋がる。犇めき合うバーの人捌きなど撮影もいい。(cinemascape)

 

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