男の痰壺

映画の感想中心です

おもひでのしずく (2010年12月11日 (土))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。

 

村上コンプレックス

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1980年。
俺が通っていた大学の正門前の喫茶店で映画のロケが行われた。
前年「ヒポクラテスたち」がキネ旬ベストテンで3位となり、「10年以上映画を撮ってなかった清順(ツィゴイネルワイゼン)と黒澤(影武者)が撮らなかったら俺が1位やったんや!」と調子に乗る大森一樹の新作。
同じ兵庫県西宮で育った同時代の作家の小説の映画化。
タイトルは「風の歌を聴け
著作者は村上春樹

凡作を連打し映画が撮れなくなった映画監督。
ノーベル文学賞の候補に挙げられる作家。
あれから30年、2人の立ち位置は天と地くらいに隔たってしまった。

実は、村上春樹の本を、俺は1冊も読んだことがなかった。
当然、IQ84も読んでません。
なんだか、かっこつけの御洒落野郎臭がイヤだった。
2年前に入院したとき、女房に「村上龍の本、なんでもいいから買ってきてくれ」と頼んだら、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」を間違えて買ってこられて、仕方なく読み始めたが、主人公が昼食にパスタを茹でたりなんかしてるあたりで、「ダメだ~」と放棄しました。
だが、最近、きまぐれから、その本をもう一度読み始めたら…。
めっちゃおもろいですやん。
気取った感じも安部公房みたいな無機質志向と思え出したらハマちゃいました。

とりあえず今から「ノルウェイの森」を見に行こうと思う。
さっきまで「スプリング・フィーバー」と「ヘヴンズストーリー」で迷ってたのだが、書いてるうちに気が変わりました。