男の痰壺

映画の感想中心です

ゴジラ -1.0

★★★★ 2023年11月5日(日) MOVIXあまがさき5

新宿壊滅のシークェンスしか見どころがないと思いました。そういう意味でもう1ヶ所、破壊のエクスタシーを感じさせるところがあればね。で、映画は残った時間で、ひたすらに神木のようわからん「自分の戦争」とやらにケジメつける物語が展開する。

 

冒頭、特攻出撃から離脱した、というか逃げた彼が離島の大戸島に着陸するのだが、そもそもになんで逃げたのかを映画ははっきりさせません。絶対に死ねない理由があるわけでもなさそうで、単に臆病風に吹かれたみたい。

それならそれでいいんですが、そのへんぼやかしてスッキリしない。若い整備兵に「そういうのもアリだと思う」と言われるのだけど、それは、現代の論理であって、とうてい戦時中に聞かれる発言には思えません。

 

本作は、

・特攻攻撃から逃げた自分を悔いて死に場所を探す。

・特攻などというバカげた自死攻撃はナンセンスでやるべきではない。

という2つの時代を隔てた論理の狭間で物語の立脚点をみつけられないままに未整理で投げ出されたように思えます。そんななら、そもそもに特攻逃げ帰りなんて設定は要らんかった。神木の戦争が終わるには、何をどうすればいいのかがわからないのです。

 

まあ、そんなことは、言うだけ野暮かも知れませんが。先述のとおり、新宿襲撃シーンは、予想の上いく破壊のディテール+初作「ゴジラ」への何ヶ所ものオマージュ+伊福部音楽のど真ん中使いでメインディッシュは文句ありませんでした。

 

神木がヘタレであることを明言しないとドラマドラマトゥルギーは起動しないのにシラを切り通して山崎は胆力あるのか観客舐めてるのか微妙。新宿壊滅シークェンスの予想の上いく破壊のディテールと初作『ゴジラ』へのオマージュ拡大再構築は文句ない。(cinemascape)

 

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