★★★★ 2019年11月20日(水) 梅田ブルク7シアター3
まあ、言いたいことは山ほどある。
昨今の映画はみんなそうだが、展開が性急すぎてタメがないので、なんとなく総集編を見せられているようなサクサク感で、それって時代の要求なんだろうが、コクがない。
CGで弾道とかをスーパースローで見せるのもアニメか?のご丁寧さで、ナメてんじゃねえよとか思っちゃうんですなあ、おじさんは。
それでも、これはモノホンの戦車を10台くらいゴロゴロ走らせる醍醐味は十二分に意識してるし、それは見ててワクワクする迫力で、こりゃあ日本じゃあ絶対無理っていうわけで、そこはCGじゃなくってリアルな重量感満載なのだ。
第二次大戦下の独ソ戦が舞台で、戦争という国家間の争いが2人の男の対決に収斂する図式も、まあそんなロマンティシズムは虚構だとわかっていたって、この時代の男たちならもしかしたらの範囲で許せます。
孤立した最前線に赴任してきた将校が、疲労した兵から言われる「そういったって実戦経験ないやん」と、彼は言うんです。「俺は兵学校で学んできたんや」と。それで、みなが納得しちまうのがえー!なんですが、ソ連ってそういうメンタリティだったんでしょうな。
2人の役者の面構えがいい。フランケンハイマーの「対決」って映画をちょっと思い出しました。
サクサク展開の味気なさやアニメ擬きのCG弾道を割り引いて尚お釣りくる本物の重量感は捨て難い。実戦経験なくたって勝ち負け制すのは腹の据わりだっちゅう清々しいまでの価値観が横溢し大局は放逐され個の戦いへ収斂していく。面構えがそれを担保するのだ。(cinemascape)