★★★★ 2024年5月14日(火) 大阪ステーションシティシネマ4
専制的なゴリラが「ワンダフル・デイ!」とか言うCMを見て、見る前からお里が知れるわ思ったんですが、いい意味で裏切られた。佳作だと思う。
猿VS人間の構図は傍に追いやられて物語は猿内部の覇権にかかわるものとなっている。「アバター」のように平和に暮らす種族がいて、それが他種族からの侵攻によって壊滅させられ、生き残った主人公が仇を撃つ。まあ、そこにはほとんど新味はないわけだが。
【以下ネタバレです】
全ては中段の展開にある。知性派のオランウータンと人間の女が主人公の路程に加わる。69年の初作に対する敬意から「ノヴァ」と名付けられた彼女の存在が本作のキモで、退化人間たちからのはぐれ鳥かと思ったら、危急に際して思わず主人公の名「ノア」を発声してしまったのを皮切りに、以降予想の上を行く本性を顕していく。そして遂には閉じた箱庭世界の出来事だった「猿の惑星」ワールドは現在の我々と地続きの地平へと解放されてしまう。思い切った大転換だと思うのです。
初期の5部作は最初の1本のみ、猿のシーザーをめぐる前3部作は1、2作は見たけど3作目は見てません(バートン版は見た)。というさほど熱意のない人間ですけど、本作は続きが見たいと思わせる出来っすなあ。まあ、それもこれもノヴァ=メイちゃん見たいからなんですけどね。
初期5作の『続』から『最後の』を再構築した「シーザー」3部作に対して閉じた円環を永遠に回り続ける悪夢から離脱させる真の意味での続篇であり、猿ワールドの箱庭感を払拭し得る可能性まで垣間見せる。新ヒロインフレイヤの生身がCGに拮抗するのだ。(cinemascape)