男の痰壺

映画の感想中心です

愛しのアイリーン

★★★★ 2018年9月17日(月) 大阪ステーションシティシネマ
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原作未読…っちゅうか、ここ20年くらい漫画読んでません。
であるから、この展開の転がり方に驚いた。
吉田恵輔監督の「ヒメアノ~ル」の印象があって、狂気の予断があったのかもしれない。
確かにヤクザも出てくるし人死にもある。
可愛い子ちゃんも出るし色気ばばあも出て激しいSEXシーンもある。
 
でも終盤の転び方は、ちょっと何やろか。
俺は泣きはせんかったが、むしろもっと重い衝撃を体の芯に感じた。
三池崇史流にリブートした木下恵介
日本の土壌に初めて発生したPTA(ポール・トーマス・アンダーソン)もどき。
奥田英朗の傑作漢字2文字小説群と同じ土俵。
いろんなことが頭の中をかけめぐりました。
 
ただ、この監督、気を抜くわけではなかろうが、緊張が間断するところがある。
この原作者の「ワールド・イズ・マイン」というのを深作や園子温が映画化を試みたらしい。
彼らの最盛期のボルテージで描かれたなら大傑作たりえたかもしれない。
 
場当たりに選んだ女を妻として乃至は選ばれた女が男を夫として受容する過程に地方の救い難い閉塞が圧し掛かる。その崩壊図式は映画として新しくないよなと思う側から変転した物語は木下的母への思慕と今村的女性賛歌を纏うのだ。神の視座さえ感じる。(cinemascape)