男の痰壺

映画の感想中心です

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

飯田譲治 Joji Iida

生年:1959/03/01 kenironkun.hatenablog.com

幸福な結婚記念日

★★★★ 2023年2月9日(木) シネリーブル梅田2 結婚記念日に妻は料理を作って夫の帰りを待っている。夫は早く帰りたいのだが色々なトラブルに遭遇してどんどん帰りが遅れてしまう。 他愛ない内容の13分の短篇コメディで、モノクロ・台詞なし・音楽のみのサ…

ピースメーカー

★★★★ 1998年1月23日(金) 岩国ニューセントラルⅡ 日常の仕事をこなす如くハードな仕事を成就させるヒーローを確立。たたみかける編集の冴えも伴いアクションの切れは超A級。特にトルコのシークェンスは特筆でパノラミックな景観と錯綜する力のベクトルの混沌…

フル・モンティ

★★★ 1998年6月6日(土) 第七藝術劇場 映画は夢を売るものだからこれでいいのかも知れぬが題材的に笑うより切実感が先に立っちまう。思わず股間を眺め溜息ひとつ…そして呟く「俺には無理」だと。切実な状況を刹那な笑いで糊塗し強度の高いドナ・サマーで補完す…

HANA-BI

★ 1998年2月18日(水) 梅田ガーデンシネマ1 『ソナチネ』な厭世刑事の『あの夏』な無言劇…だが哀しいまでに上滑り。丸眼鏡からはみ出たたけしの顔はおだて上げられ自己愛で腐臭を放っているかのようだ。伊丹が『マルサ』で周防が『ダンス』で陥った自己模倣…

マリオ・モニチェリ Mario Monicelli

生年:1915/05/15没年:2010/11/29 kenironkun.hatenablog.com

山川元 Gen Yamakawa

生年:1957// kenironkun.hatenablog.com

2/デュオ

★★★★ 1998年5月24日(日) 第七藝術劇場 メソッドの無限連鎖による緊張感の連続を田村正毅の自然光による優しい撮影が包み込む。それがなければ苦役に近い鑑賞を強いられた。極限の地獄を見たであろう役者2人のドキュメントととも見れるが惜しむらくは終盤の…

愛の嵐

★★★★ 2000年1月15日(土) 天六ユウラク座 接写中心の収容所描写は扇情的に過ぎ一歩間違えれば陳腐に堕する臨界だと思うし、被嗜虐の逆転から心中へと至る男と女の描写も曖昧で食い足りない。にしてもナチの亡霊達が裏側で徘徊する古都ウィーンの退廃ムードが…

らせん

★★★ 1998年5月30日(土) 第七藝術劇場 喪失感と哀しみに満ちた主人公の設定が良いし、手堅い演出にも好感を持ったが、何分、同時上映された『リング』の恐怖の余韻をブチ壊す安易な「貞子」の解釈で、それが必要以上に本作を不人気にした点は不幸であった。(c…

結婚式場のささやき女将

先日、息子の結婚式があって参加した(当たり前だけど)のだが、日取りが決まってから俺は気が重かった。理由は2つある。 1つは金がまたぞろかかることで、新郎の親だから礼服に100均の白ネクタイでは済まないわけで、父親はモーニング、母親は留袖が常…

サスペリア

★★ 1999年12月18日(土) 扇町ミュージアムスクエア 序盤の嵐の空港での室内外の転調に自動ドアの開閉の内部構造描写を差し込むセンスが強烈に粋ではあるが、あとは全然どうということもない。ゴブリンの音楽が突出してる一方、平板で陳腐な演出がダラダラ続く…

CURE キュア

★★★ 1998年6月13日(土) ホクテンザ1 映画内記憶と精神分析の混合が提示する物語は或る種の居心地悪い剣呑さを纏っていて、作家としての新たな鎧を手に入れた感はあるが、病み人たちに仮託されたそれは、やはり己の内実を曝け出すことに踏み出せぬ表層だと思…

メイド・イン・U.S.A.

★★ 1999年11月7日(日) 扇町ミュージアムスクエア 政治的であらんとする真性ロマンティストゴダールが、その歪んだ断層を埋められずに諧謔に逃れようとしたが自己崩壊した愚作。カリーナとのコンビネーションも黄昏感濃厚で、60年代ポップアートの最良具現…

トレインスポッティング

★★★ 1998年6月6日(土) 第七藝術劇場 怒れる若者たちの末裔は社会構造圧力から解放された代わりに経済格差に圧殺される。かくして私達はドラッグに浸るのであーる。という言い訳地獄から這い上がったにしても世界が閉じていることは変わらない。幻覚描写をは…

人生とんぼ返り

★★★★ 1999年11月7日(日) テアトル梅田2 マキノお手の物の題材でルーティーンなのだろうが、ため息が出る程の安定感がある。森繁と山田五十鈴のかけ合いの巧さは『夫婦善哉』の淡島とのそれに匹敵する至芸と言って良い。(cinemascape) kenironkun.hatenablog…

太陽の少年

★★★ 1998年6月13日(土) ホクテンザ2 良く出来た年代記もので且つ少年時代の話というのは王道的売れ線要素だが、一方で余りに多くの作品があるので余程オリジナリティが無いと埋没する。年寄りと子供しかいない空虚な街という設定を活かしきれていない。(cin…

タイタニック

★★★★ 1998年1月14日(木) テアトル徳山Ⅲ ハイ&ローの呉越同舟をヴィスコンティ級の重厚さで描くことができれば密閉空間の悲喜交々も荘厳なものにもなったろうがハーレクイーンにライト。そして、訪れる悲劇もテーマパークのアトラクションのように期待値の最…

ボッカチオ'70

★★★ 1998年6月27日(土) 梅田ガーデンシネマ2 超現実イメージで、ここでもフェリーニ篇が異彩を放つが、毎度ながらの巨大女トラウマ話で2番煎じ感が拭えない。デ・シーカは凡庸でヴィスコンティのは本気汁無し。公開当時カットされたと言うモニチェッリの1…

シンプル・プラン

★★★★ 1999年12月11日(土) 天王寺ステーションシネマ ライミらしからぬ抑制されたノーブルな語り口。欲望に絡めとられた類型的な破滅譚が何時しか同心円を描くように設定された兄弟愛の話へと中心軸が移行して行くのが秀逸でありキャスティングも計算し尽くさ…