男の痰壺

映画の感想中心です

街の上で

★★★★★ 2021年4月19日(月) テアトル梅田1

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今泉力哉の映画にとんと興味がなく、「愛がなんだ」がヒットしてたとき、一応見とこかと映画館に足を運んだことがあるが、溢れ返った女性観客に怖気付いてすごすご帰りました。

その後、多部ちゃん目当てで「アイネ・クライネ〜」見ましたが全然ダメで、やっぱご縁がない人やと流行監督ばりに次々新作が公開されるのを横目で見てきたわけなのだが、

驚きました。明らかに作家性を感じさせる熟達の出来具合に。

 

【以下ネタバレです】

冒頭で浮気して出ていった彼女が、やっぱあんたの方が良かったのよんと戻って来る、まあ、ぬるま湯で屁をこいたような起と結であるが、その間の大部分に於いて彼女は不在だし、男も淡々と日常を過ごしている。

その余白を埋めるのに多彩な登場人物がとっかえひっかえ出てくるのだが、地に足ついたリアリティが裏打ちされてる感が濃厚で、あーあるよなこういうのって納得性が半端ない。

 

多くのエピソードのなかで、佳境とも言えるのが、美大生の自主映画にエキストラとして参加した主人公が、打ち上げのあとスタッフの女の子の部屋に招かれるエピソードであるが、当然あるだろう男と女のそれを逆手にとった緊張感が牽引する濃厚な時間で、長回しのヒリヒリがカサヴェテス的に凝縮される。

 

古着屋のカップル客、職質してくる警官、ライブハウスで泣いてる女、古本屋の女店員、飲み屋のマスターといったその他の群像も概ね恋愛というものの多様性を背負って登場する。

そういう一貫性の強度が好ましい。