男の痰壺

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風花

★★★★ 2021年12月5日(日) シネヌーヴォ

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文部省の高級官僚とピンサロ嬢という社会的ヒエラルキーの両極の2人が、ひょんなことから2人旅。って言うと仕掛けが見え見えな気もするのだが、実は大して仕掛けは機能しない。

だいたい、浅野は高級官僚に見えないし、キョンキョンもピンサロ嬢に見えません。役に不適合な役者で見えすいた仕掛けを演られてもどっちらけだろう。

 

相米らしいズブズブの展開を、なんだかなーと思いつつ、時に深奥から浮かび上がってきたような切実な想いに打たれたりする。何10年ぶりかで見た相米映画だが印象は昔見ていた頃と変わらなかった。尚、本作は今回が初見です。

 

相米のフィルモグラフィを見るに「雪の断章」で極北まで達した長回しへの偏執的な執着は「台風クラブ」以降の普通にカットが割られた作品では瘧が落ちたようになくなり、長回しは適宜に採られるのみになる。だが、ここぞと使われたそれは、やっぱり幾多もの思いを内包した余韻がダダ漏れてくる。

終盤の旅館での顛末。特に柄本明が田舎剣劇を舞う一幕は最も相米らしい長回しであった。

 

役に不適合な2人のズブズブ旅路は殆ど何も訴求してこないのだが、終盤の雪のペンションの隔絶された異界からはザ・相米とでも言うべき居た堪れなさと遣る瀬無さが最奥部から滲み出る。死のうと思う時に見えるものはこんな感じだ。映画に託された遺書。(cinemascape)

 

 

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