男の痰壺

映画の感想中心です

映画はどこに行くのか

先月末に新世界国際劇場に映画を観に行ったのだが、あとから思えば成程そうだったんと思える惨状であった。
飛田の映画館が閉館になってしまってから、大阪で2番館はもはやここしか存在しない。3本立て1000円は嘘みたいに貴重であり、俺は学生時代から30年にわたり間欠的にだが利用してきたのだ。
しかし、ここ数年のこの映画館はゲイのハッテン場としての普及率が高まり、鑑賞を阻害されることも多かったのである。
俺のような熟練者は、それでも各種の喘ぎ声を脳内フィルターで無いものに変換し凌いできたのであるが、その日は、それ以外にヒソヒソ声や笑い声なども激しく、喘ぎ声も最早、傍若無人の領域で、元来その筋の人たちは世間に顔向けできずに申し訳ございませんの遠慮をもっていたはずが、何か勘違いしてんのではの大騒ぎであった。
いくら、経営上仕方なくとは言え、ダメやろと思って帰ったのだが、月が変わりNETで上映予定を見ても表示されないので検索をかけたら休館だと言う。ああ…奴らは知ってての最後の宴を謳歌していたのだな…。遂に終わったか。俺のような映画館至上主義者はシネコンで見逃したら永久に見る機会を無くしてしまったのか…。
デジタル化の波にさらされて、フィルムが消滅し挙句に映画館という場さえも変容していく。
 
「もう終わりですね…映画も」
「そんなもんとっくに終わってるやないか」
 
60年代の末から撮影所システムが崩壊しATGやロマンポルノが1000万円で映画を作り始めて半世紀弱、今映画は定年退職した親父が退職金の100万で作ることが出来るようになってしまった。実際そんな映画が映画館でわんさか上映されている時代。誰も公開映画の全容なんてもうわかりはしないだろう。
そんな時代、当てもののように、それでも映画館に行き俺は見続けるのだろう。
 
で、今日は当たりでした。
「ローリング」
今のところ本年ベストです