男の痰壺

映画の感想中心です

15時17分、パリ行き

★★★★ 2018年4月18日(水) 大阪ステーションシティシネマ
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最近のイーストウッドにそれほど食指が動かないので見る気もしなかった。
が、阿部和重だったかがオリヴェイラに例えてるコメントを見て終映ギリでた。
なるほど、これは無為な欧州そぞろ歩きの趣が「永遠の語らい」みたいと言えばそうかもと思う。
 
人間、歳をとると興味が失せて淡泊になるもんだから、御年80幾つのイーストウッドも例外ではない。
なんだか面倒くさいことは、迷ったら、や~めた!なのだ。
だから、映画はどんどん省略されて短くなる。
 
最初のイタリアで、宿の女性が何とかパーティが今夜あるわよ!って言う。
彼らも、そりゃ楽しみだぜ!って応じるのだが、その何とかパーティのシーンはありません。
翌日、かわいい女の子と知り合う。
旅先の一夜の出来事があったのか、まったくノータッチ。
 
とにかく、彼らは裏表なく、えーやっちゃなあ感が横溢してるので、野郎同士のくだらんバカンスも嫌味がない。
列車に乗って、ワゴン販売のコーラ買って「このコーラ小っちぇ~」といって大騒ぎ。
女子高生じゃあるまいし。
 
いっそのこと、導入の少年時代は全カットしてもよかった。
そうすりゃあ、もっと純度は高まったろう。
その辺がオリヴェイラの傍若無人さに及ばないところだ。
 
でも、そんなことすれば1時間の映画になってしまうけどね。
 
いっそ少年時代と事件の顛末も省略すればいいのにと思わされる野郎同士の欧州コンテンポラリーそぞろ歩き。散文は枝葉を削がれ俳句寸前まで迫る。侘び寂びの境地とでも言おうか。80歳のイーストウッド翁には世界は肯定的に映るのだろう。羨ましい境地。(cinemascape)