★★★★★ 2019年1月26日(土) プラネットスタジオプラスワン
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メキシコ、アーネスト・ボーグナイン、ガトリング銃とくれば否が応でも「ワイルドバンチ」を連想する。
そういう意味で、これは源流とまではいわなくても少なからず触発を与えた作品ではなかろうか。
少年時代にTV放映で見てるのだが、ここまで傑作とは思わなかった。
もう、これは頭の先から尻尾の端まであんこのつまった鯛焼き。
何から何までおもしろいし、一瞬たりともダレない。
もちろん好みの問題で、俺にとってはってことなんだが。
序盤の出会いやラストのガンファイトはともかく、中盤の4つ巴の騙かし合いがすごくいい。
各々に理があり、ガチンコ感が極まるのだ。
ともすれば、こういうのは為にする感が避けられないものだが、そんな感じが微塵もない。
特に伯爵夫人のデニーズ・ダーセルって知らんけどイングリッド・バーグマン似のいい女優ですなあ。
たまたまT氏と話す機会があった。
「いやあ、めっちゃ傑作やったですわ」
「そうか」
「アルドリッチで一番好きかも」
「そうか、ところでお前、最後のシーンの意味わかったんか」
「なんですか…クーパーが勝ってランカスターの銃投げ捨てるあれですか」
「あれの意味言うてみい」
「そりゃあ、憎からぬ相手殺ってもうたから、クソーってことでしょうが」
「やっぱ解ってないな、お前」
「…」
「あれはなあ、ランカスターの銃に弾が入ってなかったんや」
「…」
「最初から殺されるつもりやったんや」
「…」
「クーパーの演技みてたら、そういうニュアンスちゃんと演ってるわ」
「…」
「…」
「…そうでしたん」
「そうや…」
「…それやったら、猶更めっちゃいいですやん」
「そうや」
ほんまかいなと思いつつ俺は氏のもとを立ち去ったのであったが、それやったら真に男泣きな結末である。
ランカスターのニカっとした白い歯はしばらく忘れられないだろう。
導入と終幕に魅惑的ガンプレーを置いてるが中身の餡子もぎっしりで一瞬の遅滞もない展開。欲得まみれの4つ巴の化かし合いは最終的に義と我の対峙に収斂すると見せかけ結局野郎同志の信義則に終息する男泣きの苦さ。ランカスターの白い歯が網膜に焼付く。(cinemascape)