男の痰壺

映画の感想中心です

サンタクロースの眼は青い

★★★ 2023年8月28日(月) シネリーブル梅田2

ジャン・ユスターシュゴダールから「男性・女性」の撮影で余ったフィルムをもらって作ったものだそう。同じような話に、ジャームッシュストレンジャー・ザン・パラダイス」がヴェンダース「ことの次第」の余りフィルムで撮られたってのがありますけど。

 

仕事もなく日々を送る若者を描いたものだが、とは言ってもお金はほしいので、本を万引きして転売するとか、ビンゴ大会のバイトでカードを回して差益を稼ぐとか小銭稼ぎに勤しむ。そんな中でサンタの扮装して客と写真を撮るというバイトがあって、女たちは何故かサンタの格好に警戒心がゆるみ体を寄せてきたり、とまあとりとめのない寸景。

 

クリスマスから大晦日にかけての話であるが、大晦日の夜の大騒ぎが終わった後の深夜1〜2時ごろの人気のない町が印象的。こういう虚無とか無常を、もっと意識的に取り入れていればなあと思いました。そこまで本格的な作品でもないけど。

 

仮装が本質を覆い隠すのエピグラムであるわけもない散文詩で他愛無いバイト3景以上でも以下でもないのだが、フランス小都市の年末から年明けにかけての喧騒から静寂への対比が宴の後の寂しさを醸して味わい深い。孤独を内包する者しかこういうのは描けない。(cinemascape)

 

kenironkun.hatenablog.com