★★★ 2020年8月5日(水) シネリーブル梅田2
やりたいことはわかるのだが、メリハリが足りないし、もっと言えば毒が足りない。
クソ女の転落を描くに、新人女性監督には、そこまでの同性嫌悪を露わにするのが躊躇われたか。
それにしても、この富裕層のご婦人方のプラスチック細工の紛い物のような日常。サークル内での優位性の確保に汲々とし、他者の転落をひたすらに願う。同じようなことは何処でもあるんだろうが、当時のメキシコの擬似西洋サークルには歴史や文化の裏打ちがない為にゴミのような心根だけが浮遊している。
多分、インディオ系の出自と思われる新興富裕層の女性がサークルに加入してくる。主人公は徹底的に見下すが、結局立場は逆転するのだ。
極めて映画的に常套な愉楽なのだが、主人公の描き方が甘いために装置の機能は十全には働いてくれない。
特異な音楽の使い方をしている。なんか、昔のTVドラマ「阿修羅のごとく」を思い出してしまったが、思いつきの域を出ていない。
プラスチック細工の泡沫のような虚飾サークルがマジくだらなく見えるので、堕ちて良かったネとしか思えないのがどうかと思うし、堕ちてこその何某かを彼女が掴めたのかも不明瞭。被虐は愉楽、転落して覚醒といった映画の王道話方に無自覚で薄ボンヤリしてる。(cinemascape)