★★ 2019年5月6日(月) シネリーブル梅田3
別に厳格なものを映画に希求するつもりはない。
それに抗じるものがあれば。
冒頭、宇宙船外で修理作業する男が手を滑らせ部品を落とす。
…落とすって無重力なのに落ちないやろ。
でも。それはどんどん落ちていく。
宇宙服の素材が布製にしか見えない…っていうか布。
そのフェイスカバーの接合部は首の前半分しかない。
ってことは空気駄々洩れっす。
なんだか、これは、フェミニズムの最悪な成れの果ての腐臭がする映画だ。
所詮は、状況設定をいくら凝らしても、妊娠や出産のイメージの範囲でしかものごとは見えてこない。
或いはバナナ状の鉄の張り形で悶えるジュリエット・ピノシュ。
そういう性的イメージでしか物事は見えていないし、把握もできないのだろう。
かつて、女性は太陽だったとl極東のフェミニズムの先駆者は言った。
それが、どうひんまがってこうなったんでしょうかね。
たびたびインサートされる地球での思い出。
そこだけ、おそらくフィルム撮影されている。
その詩情だけは良かった。
フェミニズムの成れの果ての腐臭が漂う思い込みは科学的な細部のリアルを放逐する。ゴーマンであるし痛ましい。何年間もの禁欲を強いられた男女たちの衝動も退廃も描かずにビノシュの独善に仮託するには狂気も不足。代わりに犬たちの荒みのみ立ち昇る。(cinemascape)