★★★★ 2024年12月23日(月) シネヌーヴォ

シドニー・ポラックに大して期待もしてなかったが佳作と言っていい出来で意外であった。考えてみれば彼の初期作はほとんど見てないことに気づいた。「ひとりぼっちの青春」とか見てみたいなあ。
CIAの内部犯行を描いていて、命を狙われるレッドフォードが誰が敵なのか味方なのか判らず孤立無援になる。描かれる世界の非情さも過不足なく、冒頭の職員殺戮や第三者の友人サムの射殺などの他、サムの妻を訪ねる件で鉄面皮に夫の死をレッドフォードが伝えないドライネスが世界を表象している。
心理的駆け引きが映画的レトリックで増幅される。CIAエージェントと友人サムとレッドフォード3者の路上での接触、サムの妻を訪れた後のエレベーター内でのマックス・フォン・シドーとの腹の読み合い。この2つのシークェンスのモンタージュは正直ポラックにここまでやれるとは思いませんでした。
フェイ・ダナウェイの役柄が描き不足だし、彼女としても役不足の感は否めない。その鬱憤は「ネットワーク」で晴らされるだろう。
日常と地続きの中で殺し殺される世界の非情さを過不足なく描く一方で、諧謔や嗜みの余白もそこにはあることをフォン・シドーに担わせる。裏路地での接遇とアパートのエレベーターでの心理的駆け引きの緻密なモンタージュがポラックの予想外な巧緻さ。