男の痰壺

映画の感想中心です

いぬやしき

★★★ 2018年5月1日(火) TOHOシネマズ梅田10
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佐藤信介の映画は初期の「修羅雪姫」と直近の「アイアムアヒーロー」しか見ていない。
だが、そのアクション演出はシャープでキレがあると思っている。
 
で、本作であるが、悪いが物語の構築をてんで考えていないらしい。
まあ、戦略的にそうすることはあるかもしれないが、これは単に怠惰であるとしか思えません。
 
冴えないサラリーマンが主人公①なのであるが、おそろしく類型的。
何百回も見たパターン設定で、また演じる木梨が弾けきれず痛々しさが漂うもんだから映画は弾けない。
彼の行動の基軸は家族愛とか人類愛らしいが、そんな陳腐なもんなら、もっと周到にやれやと言いたい。
 
主人公②だが、いじめで登校を拒否ってる高校生の友人。
家庭は母子家庭。貧困で大学進学もあきらめないといけない。だから、世間を恨んでやまない。
これも佐藤健では目力強すぎで何だかなあと思う。
 
初期設定からしてマニュアルライク。
で、なぜだか唐突に宇宙人らしき者の手でサイボーグ化する。
②は恨みつらみから無差別殺人。
①は末期患者を治癒してまわる。
どっちも大して感情移入できません。
 
何百人も殺すってのは、思いきった設定だが、それなりの覚悟が作り手にあるべきだと思います。
そんなもんは欠片もうかがえない。
 
ただ、学校や職場でのイジメ。ネットでの匿名での誹謗中傷。
こういうもんに、天誅を下したい。
それは俺もわかります。
でも、これではガキの遠吠えレベルにしかなっていません。
 
類型的被虐層に従属する会社員と高校生が何故だか超人類パワーを得て加虐層に反撃という中二病世界が周回し一大ジェノサイドに至るという世界観は有り。だが、覚悟のほどがてんで見られないのでガキの遠吠えレベルで終わる。家族愛なぞ並存する余地はない筈。(cinemascape)