男の痰壺

映画の感想中心です

ストレイ・ドッグ

★★★★ 2020年10月24日(土) 大阪ステーションシティシネマ11

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ズタボロになって、人生の終焉を覚悟した主人公が思いの丈を遂げる。

男の主人公であれば、この設定は珍しくないのだが、ニコール・キッドマンが演ったところがミソで、そのあまりのズタボロさは、特殊メイクを施してるにしても俺は感慨を覚えずにはいられなかった。「ムーランルージュ」や「ドッグヴィル」のころの神がかったオーラが頭をよぎった。

現在形の疲弊に加えて、映画内の過去時制で若い頃の潜入捜査の挿話が描かれるが、ここのニコールも輝き無く霞んでいる。

 

ということで、この映画、鬱々した展開に加え疲弊が横溢していて全く弾けません。正直しんどいです。

中盤で、潜入してたころ主犯の女だったビッチを捕まえてターゲットの居場所を吐かそうとするのだが、その女も疲弊度が半端ない。疲弊ニコールとの対峙がソクソクと詫びしさをいや増させる。いいシーンではあるんですが。

 

意図はわかるが、ここまでダウナーな展開ではダメっしょと思いながら見ていたが、最後でものの見事に円環が閉じる。予期してなかったのでやられました。★1加点した。

 

生きる縁を無くして娘への母性だけが辛うじてこの世への未練。そんな彼女が舞い込んだ帳尻のつけ場に青息吐息で立ち向かう。皆がくすぶってしまった現在から振り返る苦渋の過去の唯ひとつの真実だった愛を胸に円環は閉じ眠りにつく。お疲れ様と心から思える。(cinemascape)

 

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