男の痰壺

映画の感想中心です

万引き家族

★★★★ 2018年6月27日(水) TOHOシネマズ梅田2
イメージ 1
継父によって日常的に虐待される少女。
パチンコ屋の駐車場で車の中に放置された少年。
まあ、どちらも極めて昨今では普遍化しつつある忌むべき行為だ。
が、であるからこそ、その設定?って感じで、言うたら安易。
 
それを救済するシステムとして、社会構造から逸脱してしまった人が為す一家。
ってのも、新しくはない。
 
だが、それでも、演技と演出が一流ってのは見るものを持っていくのだと改めて思う。
 
さくらとリリーが素麺喰ってるシークェンスが圧倒的。
暑さと透けブラと素麺。
巧みな配合で、SEXと充足へつながる。
「俺、まだやれたんや」と喜ぶリリーに深く感情移入してしまった。
夕立から子供の帰宅へとつながる締めも鮮やかです。
 
ずっと楽しかった…拘置所での面会でさくらが言う。
あのゴミ屋敷で食うや食わずの生活で。
…彼女がどんだけ地獄見てきたかが一瞬で映画を貫通する。
カンヌで絶賛された泣きの演技より、この慈母的笑顔が忘れられない。
 
子供虐待時代の受け皿が社会システムからの逸脱者コミュニティってのは殊更目新しくもないが演出と演者の付与するリアリズムが圧倒的なので形骸化しない。素麺シークェンスの暑さと見せブラと裸体と驟雨の連鎖。過去が照射される拘置所のさくらの慈母性。(cinemascape)