男の痰壺

映画の感想中心です

狼と豚と人間

★★★ 2020年8月9日(月) 新世界東映

f:id:kenironkun:20200811003844j:plain

最初の30分くらい、これは、ものすごい傑作なのではの期待でテンションが上がる。

3兄弟物語だが、配役の不親和がスリリングだ。高倉健って深作映画に出てたんやの異質感。気取ったグラサンで海の彼方の異国への憧憬語り。三國はいつもの三國。笠原が「仁義なき戦い」書いたときの想定山守。金子に取られて以降、三國は実録路線と縁がなかった。北大路は広島死闘篇の主役で深作映画再登板するが未だ若造だ。

兄弟の確執を横糸に、組織の麻薬取引現場からの現金奪取を縦糸に展開するなか、シークェンスごとの演出アイデアが理解不能なレベルまで振り切れる。北大路率いるチンピラ一派が母親の骨壺川に投げ捨てたあと、いきなりウエストサイドばりに指パッチンしながらコーラス。日活映画かよの逸脱がごった煮の混沌で、実際、彼らは野犬追い回してとっ捕まえて犬鍋としゃれ込みます。

 

まあ、現金奪取までは本当に目眩く展開に恍惚としていたんですが、そのあと映画はものの見事に停滞する。

兄弟の確執もようわからんまま三國以外全滅でケツまくります。

 

役者陣では、待田京介成田三樹夫を足して割った感のある江原真二郎、後年、組の姐さんばかり演らされてた中原早苗のヴァンプ、そして全くカッコよさのカケラもない三下チンピラの蓮司。

 

3兄弟配役の不親和と、壮大なドヤ街のリアリズムの下でのバタ臭い日活アクションもどきの混沌が闇鍋状態で沸騰するかの期待は、中盤に舞台をアジトに移してからはものの見事に停滞してしまう。兄弟の確執も何処へやらの体たらく。江原・中原は好演。(cinemascape)

 

kenironkun.hatenablog.com