男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【く】

狂い咲きサンダーロード

★★★ 1980年12月23日(火) 新世界座 山田辰夫の尖った声でアナーキズムをぶち上げられるとヤケにリアリティがあったし、終盤はどうにでもなったれというヤケのヤンパチ気分も横溢するが、本線は結局、既存の不良少年ものをなぞったようなところがいまいちアナ…

KUBO クボ 二本の弦の秘密

★★★★★ 2017年12月5日(火) 梅田ブルク7シアター2 道中を共にするサルとクワガタ男が何者かと知れたときに、映画は一変した。 いや、そこまでも十分に楽しめる出来ではあった。 だが、3種の神器ならぬ武具を求めての旅路は映画の骨法としてはあまりにオー…

黒いオルフェ

★★★★★ 1978年4月1日(土) SABホール 時代を又舞台を置き換えて再解釈される古典は後を絶たないが、最高峰の1つと思われる。狂熱のリオを舞台に増幅される対比は狂騒と静寂、愛と憎悪に留まらず生と死をも炙り出すだろう。死の仮面の呼び寄せる刹那の火花…

グラスホッパー

2015年11月7日(土) 梅田ブルグ7シアター1 無自覚な悪意が跳梁跋扈し腐敗し行く日本の片隅で飽くまで個人主義的行動原理に沿い仕事を行う殺し屋たちは世界から隔絶され清清しい。浅野も山田も虚無感十全。複層のストーリーラインは底浅にシンクロし結局…

グローリー 明日への行進

★★ 2015年11月21日(土) 新世界国際 キング牧師の演説を幾つかピックアップし、その間を表層の教科書的事象で繋げただけの代物に思える。マルコムXからJ・エドガーまで総花的に登場人物を動員するが要るかって感じで底浅。エンドクレジットのニュースフィ…

雲霧仁左衛門

★★ 1978年9月15(金) アサヒシネマ 多くの登場人物が捌ききれたとは言えず、ごった煮的展開を1本調子の演出での2時間半とあってはしんど過ぎ。殺陣はシンプルな場面は買えるシーンもあるが集団戦になると馬鹿みたいに血吹き出させ過ぎで失笑さえ禁じ得ない…

クリード チャンプを継ぐ男

★★★ 2015年12月27日(日) MOVIXあまがさき5 恵まれた男が拳闘にのめり込む生理が生半可にしか描かれない。もっと単線的にすべきか、でなければインディペンデント魂で『ロッキー』という金看板に対峙して欲しかった。それがクリードという眠れる血筋の反骨…

グレン・ミラー物語

★★★★ 2016年1月9日(土) プラネットスタジオプラス1 サッチモをあれ誰?と言う音楽音痴の彼女が唯一好きな曲は全く趣味じゃなかったという前振りが反転結実するラストの珠玉。丁半博打の人生に張って乗った女の一代記とも見れる。こんな出来た女房じゃ男は…

黒い河

★★★ 2017年7月17日(月) シネヌーヴォ けっこう振り切れてる話なのだが、枝葉末節が多すぎてぼけてるのが惜しい。 主人公の清純なウェイトレス(有馬稲子)が2段階の変貌を遂げる。 仲代達矢のチンピラに目をつけられ強姦まがいに犯されるのだが、やむなく…

クリムゾン・ピーク

★★★ 2016年4月9日(土) 新世界国際 『レベッカ』ベースな古典怪奇譚を贅を尽くした意匠を纏わせ心ゆくまで磨き上げたかったのだろうが内実が凡庸で単なる虚仮威しで終わってしまった。地下貯水槽や赤土採掘機といった魅力的で大がかりな装置がてんで活かさ…