日経新聞のフィナンシャルタイムズの転載欄なんて読んだこともなかったのだが、今回の世界的コロナ禍の勃発以後見るようになった4月16日。
掲載記事の暗澹たる予測に気が滅入りつつ帰宅したら女房が騒いでいる。
「やったー!やったー!ウシシ」
「なんやねん」
「安倍さんが10万円くれるんやて」
「ああ、あのクソみたいな党に日和ってクソみたいなバラマキ決めた話な、くだらん!クソみたいにくだらん!今回の件でビタ一文収入が減らない公務員、年金受給者、生活保護受給者とかになんでそんな金なんでやらんならんのじゃ!どアホ!収入が激減した人に30万の方が理にかなっとるやんけ!バカな愚民どもにケツ振りくさりやがって、おんどりゃあー」
とエキサイトして射竦める猛禽類の眼光を作ってクワッと振り返ったが、そこには女房はいなかった。
コロナ禍がもたらす世界の変容の、我々はほんの門口に立ったに過ぎないのかもしれない。壊滅的ダメージを受けた飲食・レジャー・サービス・物販の余波は瞬く間に製造業を始めとした他業態に波及し日本は歴史的惨状に見舞われる。
そのとき、世界でも突出した財政赤字を抱えながら民衆に阿ってそれに上乗せする為に増発された日本国債は、とっくに引き受け手がなくなってるので、鼬鼠のような顔をした総裁の指示で又もや日銀が買い支える。言うたらお金がないから日銀券刷っちゃおうの禁じ手乱れ打ちで、タイミングを見計らっていた世界のAI投資システムのトリガーがとうとう引かれ一斉に売りポジションを発動する。
コロナで半死に追い込まれた経済は空前のスタグフレーションに見舞われ全死に至る。産業が死に絶え、新たな致命的疫病が蔓延し、三百代言と思われていた関東大震災が起こって富士山が噴火し、南海トラフのプレートは巨大津波を発生させ西日本の半分は水没する。
そのときになって人々は思うだろう。
あのとき10万円出せとか言わなけりゃよかったと。
で、お前は10万円どうするのかって?
仕方ないですやん。くれるってんだから、グヘヘ。