男の痰壺

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大コメ騒動

★★★ 2021年1月19日(火) TOHOシネマズ梅田5

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どこが「大」やねん、寧ろ「未満」ちゃうん。

俺の中にある米騒動のイメージは、民衆が米屋に押しかけ、戸板を打ち壊し蔵になだれ込み埋蔵米を掠奪する。

そんな感じなんだが、この映画の騒動は女たちが米屋の前に押しかけワーワー喚く程度。

まあ、映画でも描かれるが、北陸で端緒を切った騒動が大阪などの都心へ伝播されるころには尾ひれがついて拡散していった。

だから、寧ろこれが正しいのかもしれない。

でも、だからどうしたという話で、小さな村の小さなコミューンの1掌話で終わってもったいない。

まあ、「釣りバカ日誌」から「超高速参勤交代」へ至る本木監督の作品歴を見ていれば宜なるかななんですが。

 

それでも、井上真央を見る映画としてだけでも、お金払っていいと思いました。最近では「焼肉ドラゴン」の長女役が印象に残る程度だったが、今回バリバリのど真ん中の主役で、彼女の担力を満喫できる。日本映画は、もっとこの才能を活かしてあげないとあかんと思います。

 

女優たちが、みんなスッピンで頑張っており、わけても驚いたのは姑役の夏木マリ。最後のクレジット見るまでわかりませんでした。キリリと性根の据わった名演といっていい。別の意味で左時枝も彼女とわからなかった。こちらは米屋のいやらしい女将。こんな抽き出しもあるんやと驚きました。

 

家族の為とはいえ寝返り裏切って済し崩しに押し通してしまう真央の胆力と帳尻つけない女たちコミューンの大らか。騒乱の端緒を描くに留まり社会的構図への言及にも至らぬが往年のプログラムピクチャー的な分を弁えた佳篇。傍で支える夏木がまた良い。(cinemascape)

 

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