男の痰壺

映画の感想中心です

マンハント

★★ 2018年2月23日(金) 大阪ステーションシティシネマ11
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大体にジョン・ウーの映画ってのは恥ずかしいものなのである。
だって、グラサンかけて咥えタバコってだけでも恥ずかしい。
なのに、スローモーションでコートはためかせて見栄を切る…なんて尋常な神経の野郎にはできません。
 
だが、一方で驚くような非情や切なぎる哀切が随所で顔を出す。
それが、前述のこっ恥ずかしさを相殺することで均衡を保てば時に傑作が生まれたりする。
「ハード・ボイルド」や「ハード・ターゲット」は今でも傑作だと思うし「狼」は佳作だと思ってます。
 
冒頭のベタ歌謡に乗せて港町のスナックが舞台となるシークェンス。
意外性もあって掴みは良かった。
 
だが、以降のあまりに使い回された設定のオンパレードにテンションはだだ下がる。
福山の初出シーンのベタすぎて眩暈がする設定。
殺し屋女2人の出自のベタすぎてゲップが出そうな語らい。
まあ、言えば小学生の自主映画レベルです。
ってそれがジョン・ウーっていえばそうなんですが、先述の相殺ファクターが今回見出せません。
 
大阪が舞台ってことで、かつての「ブラック・レイン」のコアな造形が頭をかすめましたが、
その点でも足元にも及びませんでしたわ。
 
使い回しのマニュアル設定をオリジナルの梗概に当て嵌めただけなので真のエモーションはどこ吹く風状態。乾涸びた鳩や2挺拳銃に撞着しても無残でしかない。冒頭のベタ歌謡から居酒屋の『キル・ビル』風味が美味しかっただけに残念。大阪の切り取り方も凡庸。(cinemascape)