男の痰壺

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チャンシルさんには福が多いね

★★★★ 2021年1月13日(水) シネリーブル梅田4

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昨年の日本映画「私をくいとめて」と極めて似ているが、俺はこっちの方がいいと思いました。

だって、アラサーの可愛い女子の悩みなんてたかが知れてるし、まだまだいける年齢だと思いますが、アラフォーの普通のおばさんではしんどいやろなあと思う。

リアルはしんどい方にあると思う。であるから、のんが主演した段階で「くいとめて」は、普遍なリアルを放棄している。

まあ、それはアラカンの俺からすればであって30代のリアルは又違うんでしょうが。

 

年下の男に告ってあっさりふられる。それも、後ろから抱きつくという全身全霊バンジージャンプ級の告白でふられる。この居た堪れなさは痛切である。

そんな彼女が、真っ暗に落ち込んでるとき、部屋にあった古いラジカセでテープを再生する。それは昔、少女であったころにエアチェックしたラジオの映画番組。先週の「ベルリン天使の詩」に続いて今週は「ジプシーは空に消える」をお送りします、なんてやっている。

ここで、俺はかなりやられました。似たような俺の記憶が映画とシンクロする、時代は違いますけど。彼女は映画愛が高じて業界に入り、まあ一応夢は遂げた。で、挙句にどうなった?という世知辛い自己の問い直しであります。

 

一念発起でシナリオ書いたりするが、そんなに世の中甘くはない。ラスト、走る列車の頭部からの映像が、彼女の心象の映画として映される。ここは詰めが甘くて寂しすぎると思いました。フェリーニのような祝祭で終わって欲しかった。でないなら地獄へ突き落とすかだ。いかにも半端。

 

大好きだった映画の仕事に就いて夢叶えた筈なのにという現在形自分への問いかけ。何故か虚しく切なく思い余って年下男に柄でもなく告ってみたが現実は映画じゃないという居た堪れなさ。アラフォー女性のリアルを等身大で描いて応援したくなる。まだまだだよ。(cinemascape)

 

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