男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【と】

トータル・リコール

★★★ 1991年2月6日(水) 梅田スカラ座 仮想と現実の相互侵蝕など面倒とばかりに目ん玉ビヨーンやおっぱいビローンとかの方へと向かうバーホーベンの関心ベクトル。だが一方でその生来の胡散臭さが随所でモノマニアックに表出するのがキッチュだ。額の汗や自壊…

どろろ

★★★ 2007年1月27日(土) ナビオTOHOプレックス6 48ヶ所のパーツを失った子供が何とか成人したにしては怨念も虚無も孤独感も不足で妻夫木は快演してるが物足りない。それを突き詰める想像力が製作者に不足しており素晴らしい終盤が勿体ない。殺陣も今…

ドン・サバティーニ

★★★1991年3月3日(日) トビタシネマ ブランドの自家パロディは気恥ずかしいを通り越し自虐的で侘しい…のだが、動物ネタの弾けなさも致し方ないという弛緩世界で、結局その自虐しか見所無い微温コメディ。全般な作りは、まあ普通に良く出来ていて退屈はしない…

トロイ

★★★ 2007年2月17日(土) トビタシネマ アキレスの今風の唯我独尊の生き様が出来過ぎ感を生じさせ深みが喪失した。己の信念と大義との狭間でこそドラマが生じる。バカ君主もそうであればもっと機能したろう。ペーターゼン演出は相変わらず骨太で媚が無い。(c…

ドリームガールズ

★★★★ 2007年3月16日(土) 梅田ブルク7シアター1 ありきたりなバックステージ物なのだが、マニュアルを唾棄しオリジナルなソウルをこそという終盤の収束が骨太でかっこいい。小賢しいシーン内編集ではなくシーン繋ぎの編集が冴え、ダレ場もあるのに無いか…

劇場版 Dr.SLUMP Dr.マシリトアバレちゃん

★★ 2007年3月3日(土) 梅田ブルク7シアター2 こういうものを例え添え物としてでも出すのなら覚悟して出せよと言いたい。「オマケ」に甘んじている怠惰感に反吐でも出そう。キャラとしてのアバレちゃんには更なるアナーキーをこそ求めたい。チョイ悪程度の…

ドリームシップ エピソード1/2

★★ 2007年3月24日(土) トビタシネマ 特撮にけっこう気合いが入っており最初は見入ってしまったが、オカマ3人組が出てきてシラけてしまった。ドイツでは、こういうバカそのものが受けるのだろうか。後はオカマである意味すらも無い低級ギャグがひたすら連…

童年往事 時の流れ

★★★ 1991年5月11日(土) 毎日文化ホール 少年時代ものというジャンル訴求力に侯孝賢の作家性が未だ拮抗していない感じだ。編年体の叙事性は後の『非情城市』で、叙情性は『恋恋風塵』で透徹した深みに至る。郷愁は堪らなく切ない。ただし思いの丈が過ぎて年代…

トム・ヤム・クン!

★★★ 2007年6月9日(土) トビタシネマ プロットの結を端折ってしまうのではテキトー感を拭えない。陳腐な物語とバトルの中で「料理店での4分間長回し」と「終盤の49人連続関節折り」だけが屹立している。勿体ない。で結局、序盤が一番良い。象への愛が溢…

飛ぶ夢をしばらく見ない

★★ 1991年5月25日(土) トビタ東映 石田えりがミスキャストと言う以前に、これは相当なメイクアップ技術を前提に企画されなければならなかったものの筈である。安易な企画と妥協は、こうも惨憺たる結果を招くということだ。山田太一の自らを晒した切なる思い…

逃亡者

★★★★ 1991年6月2日(日) トビタシネマ 弁護士・FBI捜査官・主婦と主要な3人の女性がチミノ流に逸脱の気配を纏わせるがラウレンティスに抑え込まれたのだろう。結果、テンポが良く切れ味も予想以上の好篇となった。世間から徐々に忘れられつつあった男達が…

トランスフォーマー

★★★★ 2007年8月25日(土) 梅田ブルク7シアター2 又かの侵略ものかと思えば序盤で馬鹿に転倒し最後まで馬鹿を押し通したところはマイケル・ベイの虚飾なき到達点とさえ思えた。合体ロボ同士が語り合う様にキッチュを感じ、ラストに至っては極北をさえ感じ…

ドラッグストア・カウボーイ

★★★★ 1991年6月9日(日) トビタシネマ 手垢の付いた題材だとしても、大上段な視点から破滅的にしか描かれてこなかったトリップイメージが優しさに充ちた至福の世界として描かれる点にコペルニクス的衝撃をおぼえた。気取りの無い日常を同一線上から捉えた視線…

冬冬の夏休み

★★★ 1991年8月3日(土) アクア文化ホール ジャンルの同工作が多数あるなか突出した何かがあるわけでもない。垣間見える大人世界が少年の自我の萌芽に寄与することもないスケッチ。ピンビン共闘以降のスタイルは未だ確立されていないが『童年往事』の前半はこ…

独立愚連隊

★★★ 1991年8月25日(日) 日劇会館 やさぐれ者たちの吹き溜まりにしては刹那感に乏しい。まあコメディなのだから言っても始まらないのだが、喜八のスタイルが既に完成されてるだけに惜しく思える。唯一三船の使い処だけは傑作なセンス。心から笑えたのは残念な…

ドライブ・マイ・カー

★★★★ 2021年8月29日(日) 大阪ステーションシティシネマ9 カンヌの脚本賞だそうだが、おそらくそれは濱口・大江の脚色力というより村上春樹のストーリーテラーとしての力量に負うところが大きいのではないか。って原作読んでませんけど。 【以下ネタバレで…

道成寺

★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX 川本喜八郎の代表作として巷間言われてるのはこれと「火宅」あたりなんでしょうか。てことで期待して見ましたが。 短篇であるから細かい状況描写があるわけでなく、ひたすらに岡惚れ女が逃げる男を追いかける。 ある…

トイ・ソルジャー

★★★ 1991年10月13日(日) 新世界国際劇場 常道から半歩踏み越えた設定を編み出すコープ脚本の練達とペトリー演出の堅実は安定の強度なのだが、細部では所詮ガキ映画なので半端に緩くなり、寧ろガキにやられるテロリストに肩入れしたくなる。それが金持ちや政…

21ブリッジ

★★★ 2021年8月8日(日) 新世界国際劇場 犯人逮捕のためマンハッタン島に架かる21の橋を封鎖する。更に船舶、地下鉄も封鎖だーと派手にアドバルーン飛ばしてくれてますが、タイトルと宣伝サギです。想像されるようなパノラミックかつダイナミックな舞台設…

TOKYO!

★★★★★ 2008年9月12日(金) 梅田ガーデンシネマ2 破壊神ラヴァンが伊福部音楽に乗り降臨したカラックス篇は『テオレマ』以来のトリックスター論として全き禍々しさと胡散臭さを兼備し、ゴンドリー篇は自己解放から急転直下に至福の境地へ誘う。2人の前では…

どついたるねん

★★★ 1990年3月17日(土) 梅田東映パラス2 赤井という飛び道具のリアリズムに拮抗し得るドラマトゥルギーがあったかというと期待はずれだった。映画の理想郷を形成するに、逸脱する術を知ってそうな原田や麿起用でさえ虚構性を増長する。そして、ファイトシー…

トウキョウソナタ

★★ 2008年10月25日(土) 梅田ガーデンシネマ1 公園の炊き出しや職安の長蛇の列や米軍への公募従軍はリアルに目を背け映画内制度に依拠した戯言。又、家庭が真にリストラクトされるには全てが生半可。小泉は裸体を晒して犯されまくれ!香川は殺され殺せ!そ…

東京上空いらっしゃいませ

★★★ 1990年8月5日(日) みなみ会館 伝統的アメリカンコメディを踏襲するシナリオに対し相米流の少女の生理を搾り取るが如きネバネバ演出が思いの外影を潜めたのが成熟を思わせたが、職人に徹してペーソスを抽出するには至ってない。一方でカメラも演者も1級…

どん底

★★★★ 1990年10月13日(土) 日劇シネマ 精緻を凝らしたセットに幾人ものプロ役者と素人をぎゅうぎゅうに詰め込み圧力釜で調理した料理のような息苦しさだが、各シークェンスのライブ感は黒澤のマルチカメラ使用が最も成功した映画に思える。煮詰り沸騰する人間…

となりのトトロ

★★★★★ 1990年12月30日(日) みなみ会館 夜中に窓外の気配に怖々目を凝らしたとき、又夕闇の雨のバス停で気配に振り向いたとき、そこに居るという静謐の間合いから、大空中の飛翔や猫バスの疾走に繋がる緩急。そして、俺は大きくフワフワのモノに包まれ羊水の…

トランスフォーマー リベンジ

★★★ 2009年7月17日(金) なんばパークスシネマ2 ロボット戦争の低脳ぶりの更に上を行く白痴的人間ドラマが素晴らしくチャーミングだし、終盤の「顔無し」モドキの世界遺産蹂躙を筆頭にベイの無痛感覚は爽快でもある。だが、どうしようもないキナ臭さが無条…

扉をたたく人

★★★★★ 2009年8月8日(土) シネリーブル梅田2 太鼓という珍奇ではあるが現代的で尚且つ初源的なアプローチに惹かれるうち、日常では看過される階層社会が横断的に綴られ、諍いの民族史観は融解する。そのナウな構造。自己再生とか言うヤワな戯れ言は怒りの…

トワイライト 初恋

★★★★ 2009年8月23日(土) 新世界国際劇場 少女の飽くなき「白馬の王子」願望に完璧に準拠し世界観を全うしている。俺は少女ではないが解る気がする。設定に拘泥しグルーミーな曇天狙いが貫徹されてるのも好感を持った。世界に背を向けても、あなとなら行け…

ドゥームズデイ

★★★ 2009年9月26日(土) なんばパークスシネマ1 『バイオハザード』な導入に『ニューヨーク1997』な序盤。ここまでは許せるが、この監督はアクション演出がもっさりし過ぎでカタルシスに至らない。都市から郊外へ展開した物語は中世風味の更なる停滞の…

童謡物語

★★ 1988年9月18日(日) 新世界劇場2 蜂業者の話が『童謡物語』と題されるあたりにジャンルを見透かすような製作の本意が見えて萎える。映画は生真面目に生真面目な物語を語っているが、さらりとしすぎて教育TVのドラマみたいで面白くも何ともない。炎天下…