男の痰壺

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リバティ・バランスを射った男

★★★★ 2020年12月6日(日) プラネットスタジオプラス1

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子どもの頃にテレビ放映で見て良い映画だと思った記憶があるのだが、それは、何かどんでん返しみたいなのがあったように覚えていたんだけど、そんなもんはありませんでした。同じ頃に放映されてた「テキサスの五人の仲間」とかと記憶が混同してるんやろか。まあ、リバティ・バランスを射ったのは実は、ってあたりがそれっぽいんですが。

 

河野太郎が大好きな映画とか言ったとかで話題になったそうだが、わかる気がします。

これは、善意の大衆が本当に心から、この人がリーダーシップを執ってくれたらと思って、その為に本気で彼を盛り立てていく。そういう民主主義の理想郷が描かれた映画だと思うからです。

 

序盤で、ご婦人を守るため賊に襲われて瀕死となった彼を町のみんなが必死で介抱する。俺は、不覚にもこの時点で込み上げるものがありました。ああ、フォードが描く善意ってやっぱいいなあってのもありますが、荒みきった世の中でもがき苦しんでいる我が身の反動かもしれません。

この映画には、そういう忘れ去られた善意が溢れかえっています。

 

ジョン・ウェインを久々に見たけど、この映画の彼は本当にいいっすな。「勇気ある追跡」よりこっちでアカデミー賞とったら良かったのにと思いました。事後の何十年をひっそり生きただろう彼の人生を思うと涙を禁じえません。ジョン・ウェインはそんな彼の男気を余すことなく体現しております。そんな彼の人生に寄り添って生きたウディ・ストロードがまた泣かせる。

俺も残りの余生を何かに捧げて終わりたい。

そう思いました。

嘘ですけど。

我欲に塗れてます、はい。

 

民主主義の勃興とマチズモの挽歌。フォードの描く善意の理想郷を世知辛い時代に今一度噛みしめる。華々しい死に様ではなく全てを悟り身を引き朽ちてゆく。そういった生き方の尊さが時代を変えてきたのだということ。体現するウェインの佇まいは完璧。(cinemascape)