男の痰壺

映画の感想中心です

果てなき船路

★★★ 2022年4月24日(日) プラネットプラスワン

ジョン・フォードの作品だが、先般見た「逃亡者」でも感じた救われない閉塞感を本作でも感じた。てことは、こういう行き詰まりの救われなさに作家魂をフォーカスする志向はフォードの例外的な一面ではないんだろう。当然見ててしんどいから観客受けは良くないと思われるんですけど。

原作はユージン・オニールの戯曲。ウォーレン・ベイティが監督した「レッズ」ジャック・ニコルソンユージン・オニール役を演じてました。関係ないけど。

 

とにかく物語が転がりません。大戦下で爆弾積まされて商船が出航するがサスペンスも何もない。爆弾どこ行ったやら。代わりにスパイ騒動があるが小火程度。

 

この映画の佳境は、船が目的地に着いて船員たちが給金もらって船を降りてからにある。胡散臭い親父に誘われて行った店は今でいうぼったくりバー。ジョン・ウェイン青年は船乗り辞めて故郷に帰るはずが店の女に無理くり飲まされてぶっ倒れる。

俺は20代の頃のイヤな思い出が脳裏に去来して居た堪れなくなりました。

まあ、そのあと不幸の帳尻はトマス・ミッチェルが負うことになるんですが。

 

グレッグ・トーランドが「怒りの葡萄」と前後して撮影を担当してるが、こちらもそれほどの冴えは感じなかったです。

 

先行きないドン詰まりの船路に女達の乗船・爆弾の荷積・スパイ疑惑と彼是起こるが成行は断ち切られ閉塞感は弥増すだけ。ベルイマンかと見紛う救いのなさ。陸に上がってやれやれも束の間ボッタクリバーで身包み剥がれる顛末はミッチェルの奈落へ連結。(cinemascape)

 

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