男の痰壺

映画の感想中心です

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

猿の惑星 新世紀

★★★ 2015年1月12日(月) 新世界国際劇場 飛躍的進化を遂げた猿CGではあるが、ワンダーなSFとしての内実は退行した。猿仮面を剥ぎ取れば芸の無い見飽きた覇権闘争の旧態イズムしか残らない。決定的にキャラの駒が足りない。望むべきはGSでの「ザ・ウェ…

ピンク・パンサー4

★★ 1980年9月22日(月) 伊丹グリーン劇場 アイデアが枯渇し主役を凌駕してきたドレフュスのマゾキャラも最早飽きられる。自棄のやんぱちでクルーゾーの変装と生き返りアイデアをひたすら繰り返す一種のバラエティショーにしてみたが如何せんエドワーズでは生…

バトル・オブ・ザ・セクシーズ

★★★★★ 2017年7月26日(木) TOHOシネマズ梅田5 俺の小学生時代。 TVのスポーツ中継は野球・ボクシング・相撲・プロレスが中心だった。 そんななか、たまたまやってたテニスの試合でキング夫人という名前を覚えた。 夫人という呼称を何故つけるのか違…

喜劇 女は男のふるさとヨ

★★★★ 2015年1月17日(土) トビタ東映 美津子や魔子を巡るエピソードがそれ程に感銘的とも思えぬとっ散らかし的混沌なのだが、或る意味でのラストリゾート新宿藝能社を営々と維持する森繁・メイ子に改めて敬意と羨望を抱く。理想郷に於ける理想の夫婦像を巧…

★★★★★ 1980年10月12日(日) SABホール 怒涛のように錯綜する個人史と国家・世界史の断片だが内省的な静謐と超現実の戦慄が交錯。母の洗髪場面の幻想味も相当なのだが何気ない草原が風でそよぐだけで内包した何かが醸し出される。タルコフスキーの到達点。…

東京战争戦後秘話 映画で遺書を残して死んだ男の物語

★★ 2017年7月29日(日) シネヌーヴォ 69年の国際反戦デーの新宿街頭デモの様子が描かれるのを見て、これは、60年安保のど真ん中で作られた「日本の夜と霧」の10年後に、それと対置される映画になるんじゃないかと思ったのだが…。 ど真ん中の最果てで…

百円の恋

★★★★ 2015年1月17日(土) シネリーブル梅田2 ジムの経営者やトレーナー、コンビニの2人の店長や店員といった脇キャスティングが全て命中しており、遣る瀬無い閉塞と片隅感が充満するのが良く、そういうリアリズム基盤の上で『ロッキー』チックな類型的再…

映画に愛をこめて アメリカの夜

★★★★★ 1978年4月2日(日) SABホール 入れ子「パメラ」は茶番であるが、役者が役者を監督が監督を演じるメタ批評性が映画にダイナミズムを与える。絶頂期トリュフォーが才能の余禄で撮ったようなもんだが映画の神は皮肉にも降臨。自画自賛話を聞かされ気持…

クレアのカメラ

★★★★ 2018年7月22日(日) シネリーブル梅田4 映画配給会社(?)の有能社員でカンヌ映画祭に仕事で来ている女性がいきなりクビになる。 街中の小さなブースみたいなところで仕事をしているキム・ミニがファーストカット。 これは、ラストショットのアパー…

薄氷の殺人

★★★ 2015年1月12日(月) シネリーブル梅田3 内実が希求した表現ではなく全てに狙ってる感がそこはかとなく漂う。白昼の花火も観覧車も砕炭工場やスケート場も絵面としては蠱惑的だがズシンと来ない。ミステリーとして成立させる気は端から無なさそな凡展開…

ロッキー

★★★ 1977年12月18日(日) 伊丹グリーン劇場 猫背でボソボソ話し亀を飼い組織末端の仕事で日々を凌ぎ冴えない彼女で慎ましやかな充足を得る。リアリズムな前半はアメリカンドリームの実現へ転調するのだが、それには後半の背景の厚みが不足。世界は数分間のテ…

ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー

★★★★ 2018年7月21日(土) 梅田ブルク7シアター4 巷間不評だと聞いていたが、サイドストーリーとして「ローグ・ワン」より買うね、俺は。 ごちゃごちゃしてないのが良い。 本流のサーガとの連関なんて、チューバッカとミレニアム・ファルコン出しとけばえ…

アゲイン

★★★★ 2015年1月18日(日) MOVIXあまがさき7 巧緻な伏線のもと、催涙爆弾が2段階で仕掛けられた構成を今更取り立てて言うのもどうかと思う。寧ろ全篇を一貫するノーブルな真摯さこそ評価したい。中井貴一の、年齢相応の虚飾のない佇まいや言動。試合シーン…

江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者

★★★ 1980年10月1日(水) 毎日ホール 変態は嫌いではないが、視姦者と被姦者の間の屈折した共犯意識が妄想世界で充足してる間は良くとも、現実殺人に至らざるを得ない乱歩の枷が寧ろ邪魔。宮下の貴婦人も柄じゃない。だが、全てを無に帰す大震災が低予算ながら…

天命の城

★★★★ 2018年7月15日(日) 大阪ステーションシティシネマ5 敗戦に至る何日間かを描いてるのだが、意外なほど醒めた視線だ。 もっと情緒過多なのかと思ったが、分析的で怜悧。 わかっている結末に向けての単線構造を、ほぼ夾雑物無しで突き進む。 知略も戦略…

シン・シティ 復讐の女神

★★★ 2015年1月23日(金) TOHOシネマズ梅田6 浮浪者狩りの糞ガキを狩るロークの掴みやカードやコイン技の一挙手一投足の末端まで気合を漲らせるレヴィットの至芸と出だしは良いが、肝心のジェシカに切ないまでの悲哀がエヴァに悩殺的な色香が無く予定調和な…

ペトラ・フォン・カントの苦い涙

★★ 1980年11月1日(土) 関西学院大学第4別館309号室 限定されたサディスティック密室劇でさして魅力的でもない中年女性の鬱屈した精神の変容を見つめ続けるには、多少の叙述レトリックは必要だったのではないだろうか。例によって青を基調とするバルハウ…

フィニアンの虹

★★★ 2018年7月15日(日) プラネットスタジオプラスワン コッポラのメジャーデビュー作であるし、かの「ゴッドファーザー」の2本手前の作。 なんだから、もっとフィーチャーされてもいいんだけど…。 まあ、あんまりオモロくもないんだわ。 ブロードウェイの…

チャイナタウン

★★★ 2015年2月7日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 30年代復刻ブームに乗った企画はポランスキーの内実から生じたものとは思えず、がしかし、アルチザンとしての高度な技量を駆使し魅せるものにしてみせる。ニコルソンのニヒリズムは文句ないが、利…

五番町夕霧楼

★★ 1980年11月5日(水) 伊丹ローズ劇場 初作でさえも金閣寺放火のモチーフが余分に思えたのに、本作では更に、それをクローズアップした為に主人公の哀感を切々と謳い上げるには程遠くなってしまった。この頃の松坂はまだケバいし、ポップが身上の山根の柄で…

ワンダー 君は太陽

★★★★ 2018年7月15日(日) TOHOシネマズ梅田5 病気が題材の映画も子供がメインの映画も好みではない。 だけど、この映画は見てよかったと思った。 言うなれば一種の理想郷を描いたもの。 で、そのことを映画は観客に信じ込ませることができるかが正念場…

マップ・トゥ・ザ・スターズ

★★ 2015年1月17日(土) テアトル梅田1 ハリウッド言うても片隅が舞台の旧態な因縁話で描かれる毒に新味がない。西海岸の乾いた陽光をサスチツキーは平板にしか捉えられず、しょんべん臭いヘタレガキも半端である。『サンセット』の魑魅魍魎ヤ『イナゴ』の…

天国と地獄

★★★★★ 1977年10月1日(土) 伊丹ローズ劇場 1991年5月26日(日) 日劇シネマ 局地的でミニマムな相克なのに切迫と緊張を最大限に加重しロシア文学めいた神の荒野が現出する。テクニックも冴え「こだま」カットインによる省略と急転は4人の脚本家チームが小躍り…

菊とギロチン

★★★ 2018年7月7日(土) テアトル梅田1 なんでも瀬々敬久監督数十年来の企画だそうだ。 こういうのは、得てして温めている間に腐るかあらぬ方向に変質して思い入れの本質を見失う。 アナーキスト集団の底辺にいる「ギロチン社」。 女性が虐げられていた時代…

Mr.& Mrs.スミス

★★★ 2015年1月27日(日) トビタシネマ 連綿と軌跡を重ねてきたアメリカンカップル・オブ・イケてるセレブものの常道を1歩も踏み越えるものではないが、「非情」エッセンスが適度に加味されキャメロンやハーリン以後を感じさせる。楽しんじゃってる感も一応…

その後の仁義なき戦い

★★ 1980年9月27日(土) 毎日ホール 役者は揃ったが、組織の川下で青春ものめいた友情とかをチンタラやってるだけで包括的な組織論に波及しないのでは「仁義なき戦い」の冠が泣く。笠原イズムはもっとドライでクールであった筈。工藤演出もTVの段取り感が抜…

うたかたの戀

★★★★ 2018年7月8日(日) プラネットスタジオプラスワン オーストリア皇太子の心中事件をモデルにした映画は本作品を含めて3作あるらしい。 まあ、悲恋ものであり、成さぬ恋の果ての情死という意味で「ロミオとジュリエット」みたい。 しかし、現代の感覚か…

KANO 1931海の向こうの甲子園

★★★ 2015年1月25日(日) MOVIXあまがさき10 力作なのだが余りに総花的展開で散漫の誹りは免れない。挫折した永瀬の自己回復の物語と混成ダメチームの成功譚はリンクしつつも根っこで化学反応は起こさない。更に何故か札商の青木が語り部で、大沢の出番に…

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

★★★★★ 1980年9月16日(火) 毎日文化ホール 基地で反共将軍が、作戦室で元ナチ博士が、コックピットでテキサス少佐が、狂った本性を発酵・醸成させる。作戦室のパンフォーカスと基地のロングの当意即妙。スコット・ヘイドンのタカ派演技とセラーズの天才。2つ…

正しい日 間違えた日

★★★★★ 2018年7月7日(土) シネリーブル梅田3 キム・ミニはホン・サンスにとって明らかにさげまん。 「夜の浜辺でひとり」と「それから」を見てそう思った。 だが、初めてタッグ作のこれはすごく良い。 未ださげまん効果が顕現していないのだろう。 すごく…