男の痰壺

映画の感想中心です

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

天使

★★★★ 2015年12月21日(月) シネヌーヴォ フレームの枠外で物語を語るのは粋だとは思うが、このルビッチはそれに意識的すぎてチョイ煩わしい。しかし、2転3転する下世話な女心を能面タカビーなディートリヒに演じさせてサスペンスフルでさえある。最後の最…

さすらいの航海

★★★ 1977年12月18日(日) 伊丹グリーン劇場 ユダヤ虐待が規定の事実としても、船客たちの故国を棄て異郷の地へ向かわねば ならない背景をもう少し描いて欲しかった。希望が砕かれさすらい人となる悲哀が断片的 な心理的パニックに終始するのでは描写が浅いと…

エル ELLE

★★★ 2017年8月27日(日) 大阪ステーションシティシネマ11 どうにも、今年上半期に公開されたユペール主演の「未来よこんにちは」と設定がかぶりすぎてる。 ・バツイチで成人の子供1人と老母 ・元夫とは顔を合わせる機会が多い ・キャリアは充実期を若干…

独裁者と小さな孫

★★★★ 2015年12月21日(月) シネリーブル梅田4 多分に寓話的導入からリアリズム世界になだれこむ訳だが舞踏人形と化した孫の愛らしさと独裁者の意外な処世テクがシビアな現実との緩衝となっている。それでも何万人も殺戮した男は惨殺されるべきとの思いを噛…

事件

★★★★ 1978年9月15(金) アサヒシネマ どこにでもありそうな地方都市での痴情事件をメカニカルな法廷ものとして組立て、尚且つ、事件の中から一種神話的な人間の根元性を抽出し得たと思う。新藤兼人脚本の良さもあるが松坂の情念と永島の生硬さの組み合わせの…

執炎

★★★ 2017年8月17日(木) シネヌーヴォ 恋の形成過程が生半可なので違和感が付きまとう。 山の女と海の男の出会いは幼少期で、あっさりしたもんで、感情の発露は描かれない。 そして、成人してしてからの再びの出会い。 山の落人部落をたまたま訪れた男は女…

スター・ウォーズ フォースの覚醒

★★★ 2015年12月27日(日) MOVIXあまがさき11 広大な物語の延伸する荒野の裾野で展開したかのような初期3部作に比し今回は精巧なミニチュアの箱庭でマニュアル的に収縮する。意外性の欠片もない。デススターの10倍の巨敵を半分以下の労力で粉砕したらあ…

さよならの微笑

★★★ 1978年8月29(火) 大毎地下劇場 モラリズムの枷を取っ払って行くとこまで行けばというサバけた解放感が良いが、主役の2人がどうにも素人臭くて魅力に欠け、脇のピジェとマルシャンの方が強烈な個性を放って輝いたのでは今いち真の至福には至れない。が、…

ローサは密告された

★★★★★ 217年8月22日(火) テアトル梅田2 物凄いカオスだ。 こんなんじゃ、ドゥテルテが麻薬関係者を片っ端から何千人殺そうが本質は改善しないだろう。 それを産み出す土壌を改良しないと上物だけ取り繕っても無駄なのだから。 それでも、人は生きるしかな…

COMET コメット

★★★ 2016年1月9日(土) シネリーブル梅田1 関係が破綻してゆく2人の内実は多分に表層的だし、しっくり状態の時期もスルーされてるので沁みずに只管に重い。それ故に仕掛けられたギミックだが、けっこうにこれ見よがしでゴンドリーやジョーンズクラスのそ…

仁義なき戦い 頂上作戦

★★★★ 1978年11月23日(木) トーエイ伊丹 1991年7月28日(日) 新世界東映 大局を知らぬ尖兵たちの殺し合いと騙しあいが入り乱れたシリーズの第3部と本4部で描かれる代理戦争の顛末はラストの文太・旭の台詞で祭の終焉とでも言うべき徒労と挫折をもって完璧に…

雨のアムステルダム

★★★ 2017年8月17日(木) シネヌーヴォ 良くも悪くもショーケンが世界を牛耳っている。 アムステルダム駐在の商社マンっつっても、三流商社のバッタもんを売りさばいてる感じがいい。 大阪本社からの電話にインスタントラーメン鍋喰いしながら胡散臭い大阪弁…

クリード チャンプを継ぐ男

★★★ 2015年12月27日(日) MOVIXあまがさき5 恵まれた男が拳闘にのめり込む生理が生半可にしか描かれない。もっと単線的にすべきか、でなければインディペンデント魂で『ロッキー』という金看板に対峙して欲しかった。それがクリードという眠れる血筋の反骨…

人妻集団暴行致死事件

★★★ 1978年9月3(日) ダイニチ伊丹 1980年8月22日(金) 毎日ホール もっと扇情的でも良かった。加虐と被虐のベクトルが曖昧で感情の肩入れが出来ない。室田演じる兄貴風吹かせるチョイ悪親爺は結局閉じた世界の住人となるに、殊更葛藤も無さそうだ。妻が愛おし…

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章

★★★★ 2017年8月17日(木) 大阪ステーションシティシネマ10 原作は未読。 予告篇を見て、いかな三池ファンである俺としても今回はパスしようと思っていた。 あのスタンドっていう特殊能力の北斗の拳の背後霊みたいなCGにげんなりしていたから。 出だし10分…

グレン・ミラー物語

★★★★ 2016年1月9日(土) プラネットスタジオプラス1 サッチモをあれ誰?と言う音楽音痴の彼女が唯一好きな曲は全く趣味じゃなかったという前振りが反転結実するラストの珠玉。丁半博打の人生に張って乗った女の一代記とも見れる。こんな出来た女房じゃ男は…

ミッドナイト・エクスプレス

★★★★ 1979年3月16日(金) 伊丹グリーン劇場 政治的リアリズムは偏向を介在させるが、一方で切実な迫真性をももたらす。理不尽地獄が及ぼすマインドコントロールに折れつつ偶さかな一縷の反駁心がもたらす陽光。それは映画館を出て感じた眩しさに強烈に同期し…

ベイビー・ドライバー

★★★ 2017年8月20日(日) MOVIXあまがさき9 決行前夜、武器取引での破綻があった後の、彼女が働くダイナーでの一幕。 ジェイミー・フォックスがジョン・ハムを彼の来歴を想像だか捏造だかしてネチネチ責め立てる。 はっきり言って、ここ以外は見どころ…

アンジェリカの微笑み

★★★★ 2016年1月9日(土) シネリーブル梅田4 怪異譚表現に於いてスラブ的・サイレント的な味わいという以上のもは大して無いのだが、農夫のあっさん集団への偏執や朝食時の婦人客の強固な目力や各種ノイズの底深い剣呑さとかがオリヴェイラ自身の意図や思惑…

皇帝のいない八月

★★★ 1978年9月23(土) ダイニチ伊丹 自衛隊の内部クーデター計画が端緒について官軍中枢の権謀術数がパノラミックに描かれる前半には、極右というものがファッションではなくファナティックであった時代の空気が濃厚に在り見応えもあるが、後半は緩いパニック…

愛の渇き

★★★★ 2017年8月17日(木) シネヌーヴォ 「しとやかな獣」<「愛の渇き」<「家族ゲーム」<「テオレマ」 まあ、脈絡のない比較だが、そんなところか。 とにかく、蔵原繕惟の特集上映を見に行って拾いもんだと思った。 のっけから変態臭がむんむんしておりま…

の・ようなもの のようなもの

★★★★ 2016年1月16日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 松山主線の物語としては凡庸だし景子も賑やかしに甘んじる。が、しかし伊藤克信が役の志ん魚とシンクロするサディスティック構造が映画にセミドキュ的感興を付与した。森田所縁の演者が1人2人じ…

書を捨てよ町へ出よう

★★★ 1977年8月14日(日) 毎日ホール 全篇にわたりこれでもかと叩きつけ続けられるコンプレックスを起因とした暗渠じみたパワー。60年代の「新しい波」が触れた手を引っ込めた何かを引きずり出して晒すのには前衛の鎧での武装が必要であったのだろう。前にも…

彼女の人生は間違いじゃない

★★★★ 2017年8月5日(土) テアトル梅田1 「喪失」といっても、肉親を失ったのみならず家や故郷や近隣の人々や一切合財無くなったっていうのは、ちょっと簡単に他者が推し量れるもんじゃない。 だからって、なんでデリヘル嬢なん?…ってことだが、逃避という…

ブリッジ・オブ・スパイ

★★★★★ 2016年1月10日(日) MOVIXあまがさき4 2度にわたる交渉の信念はどうも通り一片の正義とかではなく仕事への誠実に裏打ちされてるらしい。為にする展開も散りばめた時代寸景にU2撃墜を混入させて切り抜けた。驚くほどにクールな計算に裏打ちされた…

女王陛下の007

★★ 1978年10月19日(木) 伊丹グリーン劇場 エモーションは隠し味としてそこはかとなく臭っていればいいのに、隠し味が前面に出れば料理はぶち壊される。シリーズの転換期に主役と映画の色調を同時に変えてしまったのが変化を好まないファン心理を逆撫でした。…

ジャズ・シンガー

★★★ 2017年8月5日(土) プラネットスタジオプラス1 世界初の長篇トーキー映画として記録される作品だが、音声がついてるのはショーの場面のみ。 台詞は字幕で対応されるのだが、1シーンのみ台詞もトーキーなのが如何にも中途半端だ。 内容的にも、どうに…

ストレイト・アウタ・コンプトン

★★★ 2016年1月5日(火) MOVIXあまがさき1 興味のないラップだが理不尽な抑圧に抗する手段であったことは十全に描かれる。そのエモーションが状況を巻き込み爆裂するデトロイトのライブが佳境であるが尻つぼみ。その後は定番通りの乱痴気の日々と内部分裂の…

冬の光

★★★★★ 1978年10月8(日) SABホール 神の在不在に関心が無くとも孤絶された世界と向き合う人々の圧倒的なニヒリズムには深い共感を覚える。ニクヴィスト撮影は余りに厳しい風土を切り取り単調なまでの長廻しを用いてハードボイルドそのもの。対極の『沈黙』…

君の膵臓をたべたい

★★★ 2017年8月3日(木) TOHOシネマズ梅田1 設定が、以前見た「僕らのごはんは明日で待ってる」と似ている。 自分の殻に閉じこもってる中二病的・オタッキー的男子が、どういうわけだかしらんが明るくて可愛い女子から猛アタックされモテモテになるという点…