男の痰壺

映画の感想中心です

2019-01-01から1年間の記事一覧

嘆きの天使

★★★★ 2019年11月17日(日) プラネットスタジオプラス1 子供の頃にTV放映で見て、トラウマになるくらいの衝撃を受けた記憶がある。 それから随分と歳経てどうやろかと思ったが、サディスティックなまでの甚振りと嗜虐の怒涛の流れは、まあ、そこに特化し…

ドラゴン・タトゥーの女

★★★ 2013年6月8日(土) トビタシネマ 請負仕事を無難にこなしているが、抽斗の範囲に留まり新たな何かを模索した形跡は感じない。事件を追う主人公と無関係なリスベットの描写が並立する前半に穴があるのだから、どうせなら、もっと解体再構築するべき。彼…

アリスのレストラン

★★★★ 1981年5月23日(土) 毎日文化ホール 反体制というほどの気構えもないフラワーなヒッピーライフは同年の『イージー・ライダー』と合わせ鏡でベトナム時代の楽天主義も一方の真実だったのだろう。良血アーロ・ガスリーの品良いおぼっちゃん顔が見た世界…

最初の晩餐

★★★★ 2019年11月9日(土) テアトル梅田2 シャレのようなタイトルであるし、家族ものってことでワイワイガヤガヤのコメディチックなものかと思ったら、予想外に、これは静謐に真摯に家族の在り様を描いたものであった。 2人の子持ちのチョンガー男と1人の…

ムービー43

★★★★ 2013年8月24日(土) テアトル梅田1 睾丸や下痢便をモチーフにする高度に幼児的単線ギャグが冴え序盤で鷲づかみにされかけたが、中盤以降は変態度がスーパーとまではいかずシュールの域に留まる。若干ダレかけたところでド腐れ猫が登場し立て直した。…

乾いた湖

★★ 1981年6月19日(金) 今津文化 テロリストの誕生を語るのに社会的敗者を対比させるのが青臭い。しかも寺山はファッションとしてのテロルに憧れるだけで、それをヒトラー崇拝等の形骸でしか表現し得ない。そして否応なく彼の本質が敗者の側にあることを露…

ターミネーター ニュー・フェイト

★★★ 2019年11月10日(日) MOVIXあまがさき6 「2」の正統な続篇だそな。 でも、俺は「3」の方が、ちゃんと地続きで正統に思えた。なんといってもサラが退場してジョン・コナーが継承した物語であったわけで、それがイケメンから非イケメンに役者が変…

やがて哀しき復讐者

★★★★ 2013年6月24日(月) トビタシネマ 傲慢でイケ好かない親爺とパープー娘がどうなっても知ったこっちゃないが、そんな親子に粛々と仕えるリッチー・レンの佇まいが粋。過剰なセンチやプロットの安さはあるが、開発担当の部下やシングルマザーの内通者や…

泥の河

★★★★★ 1981年6月17日(水) 梅田東映ホール 高度成長期の端緒は人々が未だ哀しみを噛み殺していた時代でもあったという述懐で、少年は幾度もの喪失を乗り越えやがてモーレツ時代の洗礼を受ける。出会いに始まり別れで終わる泥河べりの物語は慈しみに充ちた作り…

解放区

★★★★ 2019年11月9日(土) テアトル梅田2 5年近くもお蔵入りになったという、この映画をめぐる背景についてだが。 そもそも大阪市が母体となって運営されているCO2という映像制作にかかわる助成団体に企画を通して製作されたが、西成のあまりにアンダー…

サイド・エフェクト

★★★★ 2013年9月11日(火) TOHOシネマズ梅田7 アングルやサイズのジャストミート感や編集リズムの快楽といった語り口の次元に於いて、ソダーバーグは現在進行形では最高ランクのアルチザンになった。正味、惚れ惚れするのだが、広げた大風呂敷を凡庸に…

魔性の夏 四谷怪談より

★★ 1981年6月1日(月) 伊丹グリーン劇場 一種の群像劇的アプローチを試みたはいいが、結局は相変わらずの伊右衛門の虚無的心情に依存しているのでは何も新しいものも無く、ショーケンも蓮司も多分にルーティーンで気障な前衛風味だけが意味なく空回りする。ピ…

スエズ

★★★ 2019年11月9日(土) プラネットスタジオプラス1 朝、家を出るときには、この映画はスルーしてギャスパー・ノエの「クライマックス」を見ようと思っていたのだが、電車の中で何気なくフェイスブックを開くとT氏がプラネットの「スエズ」の記事をシェア…

アフター・アース

★★★ 2013年9月14日(土) 新世界国際劇場 「帰れ」という父の言葉を無視する崖の場が転機となり物語が転がるはずが、ありきたりな展開を消化するだけに終わってる。伝承譚としても世代交代の説話としても父スミスの役不足が決定的。しかし、ジェイデン可愛い…

明日に向って撃て!

★★★★ 1975年6月1日(日) 阪急プラザ劇場 1976年4月18日(日) 伊丹グリーン劇場 どうやっても躱し切れない追手の松明の灯りにアウトローであることの虚飾ない居た堪れ無さが心に沁みる。無口な人嫌いが絞り出す「泳げない」の一言と眼差しの哀しみ。この中…

永遠の門 ゴッホの見た未来

★★★★ 2019年11月8日(金) 大阪ステーションシティシネマ7 多分、全篇の9割くらいが手持ちカメラで、これが頻繁にパンニングする。被写体を追ってのそれではなく、被写体A→B、B→Aといったのをやるのでイラつく。 元来、手持ちの妙味ってのはライブ感で…

夏の終り

★★★★★ 2013年9月14日(土) テアトル梅田2 『浮雲』ほどの虚無感はないが、激情を押し殺し惰性に覆われた無為な年月を描いて細緻である。坂のある三叉路の古式ゆかしい舞台的使用。仰角アングルのパノラミックな多用。満島の毛穴や鼻汗を際立たせるデジタル…

ユーズド・カー

★★ 1981年6月28日(日) 伊丹ローズ劇場 荒野に道を隔てて向き合う中古車屋の販売合戦という如何にも映画的な設定。なのに全然面白くない。カート・ラッセルがコメディに向いてないのもあるのだがアメリカン・ローカルなギャグの釣瓶打ちが性に合わない。自棄…

閉鎖病棟 それぞれの朝

★★★ 2019年11月5日(火) 梅田ブルク7シアター2 鶴瓶の演技を予告編で見てうんざり感が起こり見る気もなかった映画なのだが。 まあ、小松菜奈が唯一のモチベーションとなって足をはこんだ。 監督の平山秀幸も「エヴェレスト」で、もうあかんわと思ったが、…

白雪姫と鏡の女王

★★★ 2013年7月11日(木) トビタシネマ ティム・バートンやテリー・ギリアムが遣り尽くしたジャンル攻略に新たな趣向が加味されたわけでもない。刺激度ゼロ。フィル・コリンズの娘の育ちの良さ気な物怖じの無さと凛とした太眉が唯一の見所か。ジュリアは継子…

0課の女 赤い手錠

★★ 1981年6月3日(水) トーエイ伊丹 戦略的にエクスプロイテーションなわけでなく根っから品性が腐った感があるのは素晴らしいとも言えるのだが、所詮は野田幸男に気の利いた演出を望むべくもなく、その天然ぶりにシラけた笑いさえも消え入る。そういう意味で…

秋津温泉

★★★★★ 2019年11月3日(日) シネヌーヴォ 長らく見たかった映画で、俺の直感は見るべしと発し続けていたが機会がなかなか無かったのだが、やっと見れた。 これは、傑作だと思う。 昨年、旧作の日本映画で今更のドギモを抜かれた小津の「浮草」に匹敵するポジ…

エリジウム

★★★★★ 2013年9月23日(月) MOVIXあまがさき10 10番煎じな格差未来社会への言及は体裁なのであって、已む無くメタモルフォーゼの憂き目に遭い成り行きから命を賭する男の生き様が惻惻と沁みるロマンティシズム。贅沢に使い棄てられる主要キャラ群や…

虎の尾を踏む男達

★★ 1981年7月23日(木) 新世界東宝敷島 勧進帳も馴染みがないのだが、にしても付加された強力エノケンも半端で伝次郎・藤田の立ち芝居を反転・撹乱するほどの役回りでもない。道化に対する黒澤の形骸的な理解は後の『乱』で露呈される。技巧の絢爛を差し込む…

アップグレード

★★★ 2019年10月30日(水) 大阪ステーションシティシネマ7 そんなに期待してたわけでもない。 で、期待通りに普通だった。 AIが飛躍的に発達し何かと人口に膾炙する今だからこそ、この程度の旧態な機械に人間が支配されるみたいな話では普通すぎるんやな…

バイオハザードⅤ リトリビューション

★★ 2013年7月27日(土) トビタシネマ 脳内で構築された世界に屋上屋を重ね、もはや余人の与り知らぬ妄想世界に突入。それが、斬新ならともかく、過去作のキャラ総動員的なアイデア枯渇展開とあった日にゃあ目も当てられない。大体ミラ始めド素人連中が決め…

ヨコハマBJブルース

★★★★ 1981年6月3日(水) トーエイ伊丹 優作の思い込みが高結晶化し日本映画に馴染まないチャンドラー的乾いたハードボイルドを現出させた。物語に大した意味など全く求めぬ中、同類項裕也と浸りきって演じる2ショットはスゲーの一言。全篇スタイリッシュで格…

最前線

★★★ 2019年10月20日(日) プラネットスタジオプラス1 低予算の小隊ものの戦争映画って山ほど作られてきたんやろうな。 とは思うが、第二次大戦を舞台としたものが主で、不思議とベトナム戦争や中東の戦争が舞台になるとあまりないように思う。 そうでもな…

ウルヴァリン SAMURAI

★★★ 2013年9月15日(日) MOVIXあまがさき7 葬儀場から新幹線を経て長崎に至るシークェンス。四つ巴のチェイスが縦横の錯綜を絡めつつ移動する佳境なのだが、マンゴールド演出が、どうにも理詰めのキレを欠きいただけない。で、他は正直どうでもいい。…

アナザ・サイド

★★★★ 1981年6月14日(日) 夕鶴小ホール 1982年11月2日(火) 関西学院大学1号別館1号教室 当時の自主映画界の少女趣味とパロディとエログロの三角形の内部で形成された真摯過ぎるまでの内省的な本物志向に心撃たれた。学生服で宵闇の街角をそぞろ歩く葬式帰り…