男の痰壺

映画の感想中心です

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ブラック・スキャンダル

★★★★ 2016年2月6日(土) TOHOシネマズ梅田7 『ファーナス』に引き続き演出・撮影のシュアなコンビネーションが絶品。どうかと思われたデップ禿げメイクだが近寄りたくないレベルの目力が禿げを凌駕した。暗黒史の狭間に瞬間生息した小悪党同士のつるみ合い…

ブレージングサドル

★★★ 1978年12月26日(火) 大毎地下劇場 無駄に熱いタイトルと豆喰い屁こきゲップ連発の冒頭ギャグの臆面の無さがナイス掴み。その後も早撃ちのベタギャグなど単発的にはかなり笑えるが、どうも調子は持続しない。設定だけに終わる人種ネタやとっ散らかしただ…

ジュリアス・シーザー

★★★★ 2017年6月24日(土) プラネットスタジオプラス1 昔は良かったよなあ、規律と道徳があって…それが、どうだい、このありさまは。 シーザーが長期覇権を確立したローマ帝国の有様を見て嘆く賢人たち。 このままじゃあ、あかん。 美しきローマ帝国を復活…

ザ・ウォーク

★★★ 2016年2月7日(日) MOVIXあまがさき4 スッカスカ話を1点突破すれば絶対映画の領域にもと思ったが所詮ハリウッドマターでなるわけない。凡述懐をレヴィットで語らせるW役満振り込み的ハコテン演出。CG全依存の鳥飛来に何の意味があろう。チャップリ…

★★ 1977年6月5日(日) 東梅田シネマ 失踪というアントニオーニモチーフは日本風土で内田私世界に還元され藤田のモラトリアム価値観を乗され意味不明の混濁に至る。ベビーフェイスの巨乳が襖一枚隔てて今の世界は情緒を廃され風船は萎む。ファーストシーンから…

セールスマン

★★★★ 2017年6月24日(土) シネリーブル梅田3 冒頭、大がかりなアパート倒壊というハッタリがかまされる。 ただ、以後、そういうケレンは影を潜め、引越しの動機づけとしてしか機能しないのが弱い。 バランスを欠き、いらんかったんじゃないかと思う。 役者…

ディーパンの闘い

★★★★★ 2016年2月12日(土) 大阪ステーションシティシネマ8 為にする疑似家族が心を通わせいく過程も十二分にセンシティブだが、平穏を装うその彼と彼女の危うい均衡は一瞬にして崩壊するという刹那感が漲っている。内戦によるトラウマを映画は直接には描か…

キャリー

★★★★ 1977年3月21日(日) 梅田グランド劇場 キングが日常の細部を伸延させ抽出した些細な翳りをデ・パルマも緻密な技巧の連続で表現する。これでもかの加虐性とマルチスクリーンのどハッタリ。そういう露骨なパフォーマンスの確信ぶりは潔い。ただ、ラストは…

20センチュリー・ウーマン

★★★★★ 2017年6月23日(金) 大阪ステーションシティシネマ6 母についての映画って山ほどあるが、あんまり食指がわかない。 マザコン的であるか近親憎悪的あるかにせよ、映画はドラマティックたらんとするからどっちかに振れる。 が、本作は、そのへんが実に…

ヴィンセントが教えてくれたこと

★★★★ 2016年2月27日(土) パルシネマ 演技力もルックスも個性も無く何故人気があるのか。THEビル・マーレイショー。彼の一挙手一投足を堪能する。人生の終盤を迎えた時にその自覚も反省も感慨も無いまま永続するスローライフ。少年によりピックアップさ…

キングコング

★★ 1977年1月5日(水) OS劇場 島でのシーンは素晴らしく、特に森の中よりコングが初めて姿を現す場面は圧倒的な巨大感の表現に成功していた。しかし、そもそも、このウェットな物語が好きではないのだろう。それとテーマパークの張りぼてみたいなのが著しく…

夕陽の群盗

★★★ 2017年6月24日(土) プラネットスタジオプラス1 ロバート・ベントンのデビュー作で、撮影が「ゴッドファーザー」のゴードン・ウィリスだが、更にカメラオペレーターとしてが「タクシー・ドライバー」のマイケルチャップマンがクレジットされている。 …

キャロル

★★★★ 2016年2月27日(土) TOHOシネマズ梅田10 くすんだ背景に2人の服だけが色調を帯び浮かび上がる玩具売場。文字通りの一目惚れを演出する発端だが、以後、世間から離反していく2人の意匠としての衣裳が際立っている。導き導かれるかのような関係が『…

祭りの準備

★★★★★ 1977年8月12日(金) 毎日ホール 1980年8月16日(土) 毎日ホール 中島の私小説ミニマム世界が実験心ある黒木のフィルターを通すことで神話的に拡張した。凡庸な主人公の周りのキャラクター達は追憶の中で濾過され永遠なる切なさに封印されるだろう。旅立…

22年目の告白 私が殺人犯です

★★★ 2017年6月18日(日) MOVIXあまがさき11 オリジナルの「殺人の告白」を見てるので、驚きはない。 むしろ、この改変はどーなんかなーと思う。 【以下ネタバレです】 本篇で名乗り出る快楽殺人者的な真犯人はダミーで、更なる真々犯人が登場。 いわ…

胸に輝く星

★★★★★ 2016年2月28日(日) プラネットスタジオプラス1 冒頭から馬上のフォンダの佇まいの余裕と馬の歩みの心拍同期な快楽。沁み込んだ差別感情も気のある女の手前あっさり変節。へなちょこトニパキも真摯に指導し勝利も女も手に入れる。男ならこうありたい…

ダウンタウン物語

★★★ 1977年7月31日(日) 伊丹グリーン劇場 設定だけの形骸であり、愛や暴力のようなものが描かれているが空虚。ポマードで固めた髪に付髭の背広ガキと化粧して付睫のドレスガキの学芸会。こういうのを楽しむセンスが俺には無い。そんな中で唯一違和感が無かっ…

マンチェスター・バイ・ザ・シー

★★★★ 2017年6月25日(日) MOVIXあまがさき3 彼が後生大事に持っている3枚の写真は1度も映ることがない。 過去挿話で兄の嫁さんは裸の下半身が映るだけ。 アカデミー脚本賞も納得の出来だ。 随所で語らずに語るの技法が効いていて心憎いばかり。 時…

家族はつらいよ

★★★★ 2016年3月20日(日) MOVIXあまがさき3 かねてより寅屋のコラボ再現を夢想してた山田が尺に合う面子に巡り合ったということで倍賞の後継として夏川も完全に趣味に合う。老妻の反乱は未遂に終わっても犬の欠伸で済む話。若作りな色気を排した世界では稔…

鬼畜

★★★ 1978年10月29日(日) ダイニチ伊丹 冒頭のタイトルバックのセンスは音楽の良さも相まって野村らしからぬ世界観の提示を期待させるが、後は普通。題材をボカさず徹底して突き詰めた気概は買いはするが正直凡庸な表現力だと思う。子役の無表情は誤魔化しと…

TAP THE LAST SHOW

★★★ 2017年6月19日(月) 梅田ブルク7シアター2 水谷豊のことを嫌いな奴なんていない。 俺たちの世代だったら、たぶん絶対そうだろうと思う。 その豊が監督。 俺は祈るような気持ちで見たね。 で…上出来っす。 っていうか、ほっとした反面、まあ仕方ないか…

白鯨との闘い

★★★★ 2016年2月16日(火) 梅田ブルグ7シアター2 白鯨に情緒的な何かを仮託することはメルヴィルに委ね、あくまで事象としての事故要因にとどまる。高度に叙事的であり非情緒的で最良のアメリカ文学の芳香がある。そういう中で描かれた男同士の確執が最悪…

タクシー・ドライバー

★★★★★ 1977年3月18日(金) 阪急文化 1978年6月21日(日) ビック映劇 1980年10月29日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 1983年2月25日(金) 伊丹ローズ劇場 深夜の妄想を彩る増感光量の粗粒子で映されるポン引き・少女娼婦・タクシー仲間・買春宿の親爺ら住人た…

昼顔

★★★ 2017年6月13日(火) 大阪ステーションシティシネマ1 TVドラマは未見…っつうか見んでしょう、ふつう、おっさんは。 冒頭、離婚調停の和解文が出る。 なんか、安部公房「砂の女」みたいでそそる。 全てを棄て、失って見知らぬ土地に流れてきた主人公。…

ヘイトフル・エイト

★★★★★ 2016年3月2日(水) MOVIXあまがさき7 『キル・ビル』から殺戮のロマンティシズムを『レザボア』から土壇場のダンディズムを継承したイズムの結晶。ワンパターンなのに飽きないっす。人種と性別についての糞コードを蹂躙し遣り放題の挙句に人としての…

仁義なき戦い 広島死闘篇

★★★ 1978年11月23日(木) トーエイ伊丹 1991年7月21日(日) 新世界東映 騙し騙されの狂騒の中を全力で駆け抜ける疾走感がシリーズの肝だと感じているので、番外篇的に鉄砲玉の人生に焦点を絞った本作には余り魅力を感じない。しかし、火傷しそうな千葉のオーラ…

ジェーン・ドウの解剖

★★★★ 2017年6月10日(土) シネリーブル梅田3 この監督の「トロール・ハンター」は見ているが、バジェットが大きくなれば堅牢な語り口を呈するあたり、ギャレス・エドワーズの筆頭後方走者と言える。 アンドレ・ウーヴレダル…覚えとこ。 黒魔術とか魔女とか…

影の軍団 服部半蔵

★★★ 2016年3月12日(土) 新世界東映 凡庸な殺陣シーンの度に睡魔に襲われ劇部分で渡瀬の切れ良い口跡に覚醒するという体たらくだが、忍者のアメフト装束や城のジェンガ基底など幼児的なくだらなさが憎めない。感情の機微も糞もない愛子との濡れ場の果ての無…

バージンブルース

★★ 1977年6月5日(日) 東梅田シネマ 小悪魔にメロメロになる中年男という構図は古式ゆかしいのだが、男にも行き場がなく、どうしようもなくヘタレなのが気が滅入る。逃避行を続ける2人に刹那感は微塵もなく、挙げ句の果てに「バージンを守る義務がある」って…

美しい星

★★★ 2017年6月10日(土) TOHOシネマズなんば12 各人の覚醒(?)を並行的に描く前半は素晴らしい。 吉田大八演出は「桐島」でもそうだったが、複数挿話の捌きに秀でている。 どの挿話も手を抜いた感じは一切ない。 しかし、前半で振られたトンデモネタは…