男の痰壺

映画の感想中心です

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

部屋

★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 直近で『しんぼる』あたりが粋を極めた閉じ込められ設定のギャグ集であるが、剣呑さが不足しており、ほんわかまったりしてドキドキしない。かと言って主演のおっさんに格段の芸があるわけでもなく、クレイのギクシャク…

サタデー・ナイト・フィーバー

★★★ 1978年8月6(日) 阪急シネマ 『ウエストサイド』ばりにブルックリン空撮から下降したカメラが「ステインアライブ」に突入する開巻が白眉。とっぽい風だが根真面目なトラがエグゼクティブ姉ちゃんに尻叩かれ一念発起も所詮ローカルダンスコンテストで優勝…

アベンジャーズ インフィニティ・ウォー

★★★★ 2018年4月27日(金) 大阪ステーションシティシネマ2 【ネタバレです】 どうも予想外というかある意味裏切られた。 予告編で新規加入組があることは知っていたが、まあ顔見せ程度なんだろうと思っていた。 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」 「…

パーフェクト・プラン

★★★ 2015年5月11日(月) 新世界国際劇場 運にも福にも見放された夫婦の状況描写が切実ではあるものの、モラリズムを遮蔽しことやらかすのに行きつ戻りつの心の揺らぎが納得性はありつつ映画的には煮え切らない。で、結局そんな問題を無視してサスペンサブル…

市民ケーン

★★★★★ 1980年12月7日(日) SABホール ヒッチ的マクガフィンと等価の「バラのつぼみ」。ケーンはウェルズに本気で語られる対象ではなく、己の内の圧倒的表現渇望を吐露する方便でしかない。真の天才とキャリア終焉期の老獪な撮影者との邂逅。パンフォーカス…

オレの獲物はビンラディン

★★ 2018年4月19日(木) 新世界国際劇場 ラリー・チャールズの映画は、「ブルーノ」しか見てないのだが、あれは傑作だった。 なんというか、胆の据わり方がハンパなくって、殺すもんなら殺してみやがれっていう開き直りがたまらんかった。 「ブルーノ」を含…

寄生獣

★★★★★ 2015年1月11日(日) MOVIXあまがさき1 モロCGに依拠する題材だが、アクションを描くに距離・空間の活用(ビル屋上での対峙)や編集・アングルのダイナミズム(高架下での戦い)を用い古式床しい映画術の王道を踏襲してる。充分に情緒的なのにベタ…

さよならミス・ワイコフ

★★★ 1980年12月5日(金) ビック映劇 カザンやローガン作に比べてコクがないうえに扇情的要素が露骨ではあるがインジ的米南部片田舎の閉塞感の環境描写は節度があり良い。時代もあり事後の主人公の変容は控えめだが、それだからこその決然とした行為が浮かび上…

ワンダーストラック

★★★ 2018年4月14日(土) シネリーブル梅田3 「ヒューゴの不思議な発明」と同じ原作者のものであるらい。 あの映画も、俺は全くダメだったが、これもイマイチです。 どうも、原作者はメカニカルな意匠に関心が高いらしく、今作でも博覧会に出品されたニュー…

山の音

★★★ 2015年5月17日 シネヌーヴォ 上原の下衆ぶりに呵責が無く冷徹な視線は透徹されてるのだが、反する2人の感情ベクトルが嫁不憫・義父優しいの域を出ないので生煮えである。その奥底のマグマを対置的に照射すべき山麓の静謐が演出的にこなれていない。際ど…

クレイマー、クレイマー

★★★★★ 1980年11月23日(日) 梅田東映パラス 単に社会事象への問題提議の映画だったら、ここまでの感銘は無かろう。親が子を想い子が親を想う様を緻密なディテールで積み重ね、それこそが事の本質と言ってるかのようだ。ベントンの演出は精緻を極めアルメンド…

ウィンストン・チャ-チル  ヒトラーから世界を救った男

★★★★ 2018年4月14日(土) 大阪ステーションシティシネマ9 チャーチルの歴史的評価を知らないので、ここに描かれたことは話半分くらいにとの抑制が働く。 だいたい、この大戦の当時の趨勢から見て、彼の判断が正しかったのか疑問だろう。 たまたま、米国の…

ハーツ・アンド・マインド ベトナム戦争の真実

★★★★ 2015年5月11日(月) シネリーブル梅田4 語り尽くされた戦争だが、それでもその発端部分はそれほど言及されている訳でもない。対戦の終結から10数年、戦勝の余韻冷めやらぬムードの一種の華やぎが記録されたフィルムこそ貴重かもしれない。過ちは幸…

俺は上野のプレスリー

★ 1978年12月28日(木) ダイニチ伊丹 制作当時でさえアナクロであった純情男の恋がヘナチン男なのに簡単に成就してしまうのが温すぎ、しかも、それをクド過ぎる吉幾三とカルーセル麻紀をサブストーリーに配し縁取るとあっては見てるのが一種の苦行にさえ思え…

女は二度決断する

★★★ 2018年4月14日(土) シネリーブル梅田1 こういうことを言いたいなら、主人公の設定はどうにかならなかったのかって思う。 冒頭、刑務所に収監中の男と結婚。 男は出所後、悪行から手を引いたらしいが、それでも胡散臭い連中と付き合いがある。 女も体…

ワイルドカード

★★★ 2015年5月11日(月) 新世界国際劇場 殺陣はハイスピードで引き延ばされた技炸裂が呵責が無くてそれなりに魅せるのだが、どうにもこの主人公がゴールドマン脚本による為ニューシネマチックにモラトリアムで融通が利かない。その辺ウェストの筋肉脳で理解…

不良少年

★★★ 1979年8月25日(土) SABホール 物語を通して何かを提起するというよりドキュメンタリズムの荒削りな即物性の生々しさをフィルムに刻印することで完結してしまっている。小宇宙での内ゲバではなく、社会性の中での善悪や正邪の相克といった相対化の試み…

ラブレス

★★★★★ 2018年4月7日(土) 梅田ブルク7シアター7 子供が失踪するというモチーフ。 桐野夏生の小説「柔らかい頬」や韓国映画「シークレット・サンシャイン」を想起する。 しかし、それらのように形而上的な世界観に突入するわけではない。 あくまで、リアリ…

対話の可能性

★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 捕食し噛み砕き感化し変質させる個人史や民族史や国家史の暗喩だとしても野菜人間初出の衝撃は瞬く間に薄れワンアイデアを繰り返す芸無さが惜しまれる。有名な騙し絵の野菜公爵との近似も価値減殺か。粘土の2話・3話…

愛の亡霊

★★★★★ 1979年2月10日(土) 伊丹ローズ劇場 大島が政治的・社会的メッセージを枠外に置いて狂気や煩悩からも遥かな地点に咲かせた人間の絶対善性。しかし、無垢であることはそうでないものを狂わせていく。人間の救い難い性を撮影所システムの残り香を駆使して…

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

★★★★ 2018年4月7日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 俺はリュック・ベッソンの「愛」に対する価値基準には余りに能天気で全く同意するわけではない。 しかし、彼の子供脳による宇宙人のイメージには目を見開かされる。 例えば「スター・ウォーズ」に出…

ドラフト・デイ

★★★★ 2015年5月17日 新世界国際劇場 駒取りゲームの心理戦は偶然と必然が綾をなし出来過ぎの終結を迎えるにせよ、その展開は怒涛の勢いと張り巡らされた伏線の巧みさで爽快ではある。だが、その根幹にあるのは人と人との信頼関係であるし土壇場の踏ん張り力…

日本の黒幕

メイド・イン・ホンコン

★★★★ 2018年4月7日(土) シネリーブル梅田4 香港返還の1997年の製作であるが、そのことに何かを直截にメッセージしようという向きは見当たらない。 だが、そういう浮遊する状況に対する市民レベルでのモラトリアムな行き場の無さはあったようだ。 ただ…

フルスタリョフ、車を!

★★★★★ 2015年4月21日(火) シネヌーヴォ 脇かと思えた絶倫ハゲ親爺が主役と解るころ猥雑と過剰のカオスに巻き込まれ脳内マヒ状態に陥るが、一方ハイキー&エッジ効いたモノクロカメラ使いの想外の手管に幻惑させられる。物語の騒乱のあとの諦観的帰結は見て…

新バニシングIN60” スピードトラップ

★ 1978年9月23(土) ダイニチ伊丹 ニューシネマの残映のもとで身の置き処を掴み損ねたジョー・ドン・ベイカーと『ハリー3』で咲いた日陰の花タイン・デイリーが主演コンビで華がない…のは良いとしても肝心のアクションの切れもC級程度の域を出ずせば何の見…

空海 KU-KAI 美しき王妃の謎

★★★ 2018年4月6日(金) TOHOシネマズ梅田5 まず、何より「闇」が足りない。 バンバンの照明を当てたデジタルでクリアな画面に棲む「魔」はどうしたって薄いのである。 前半は「陰陽師」の疑似バージョンだ。 空海&白楽天は安部清明&源博雅と同じよう…

駈込み女と駆出し男

★★★ 2015年5月24日(日) MOVIXあまがさき5 愚劣な圧制に抗する義賊や理不尽な弾圧に虐げらる切支丹を点描しながらDVネタを主軸に据える強弱感へのセンスはやっぱ原田には無いと思う。仕組みに欠けると言う以前に表層にしか興味が無さそうな本質が露呈す…

ゴールキーパーの不安

★★★ 1980年11月2日(日) 関西学院大学第4別館309号室 1982年12月23日(木) 神戸青少年会館研修室 現代人の不安と閉塞と絶望はアントニオーニと同工異曲かもしれないが、遙かに即物的で直裁的。風景描写とかに意味を見出そうとするお芸術志向でないぶんヴェ…

レッド・スパロー

★★★★ 2018年4月3日(火) TOHOシネマズ梅田4 【ネタバレあります】 女スパイに養成されるってことで、「ニキータ」の亜流みたいなもんかという予断。 あるいはパツキン美女の諜報員ってことで、「アトミック・ブロンド」の類似品かという懸念。 ジェニ…