男の痰壺

映画の感想中心です

2017-01-01から1年間の記事一覧

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生

★★★ 2017年10月21日(土) プラネットスタジオプラス1 もちろん始祖であるが故に全然怖くない。 ゆっくり歩いてくるゾンビは俺でもやっつけられそう。 それでも、16ミリ・モノクロの即物感は悪くない。 ゾンビの初出シーンの、何のタメもない、単におっさ…

チャルラータ

★★★★ 2015年10月24日(土) テアトル梅田1 メロメロに溺れる域まで行かぬ忍ぶ恋を描き、亭主の硬質な生業を細緻に織り交ぜ極めて英文学的な芳香を醸している。それでも終盤の畳み掛けはダイナミックでストップモーションの余韻も詠嘆的だ。ブランコの『ピク…

はなれ瞽女おりん

★★★★ 1978年1月29日(日) 伊丹ローズ劇場 多分篠田は陰々滅々たる水上原作に共感を抱いたわけではなく、失われゆく日本の原風景をフィルムに刻みつける方便としただけだ。結果宮川が撮影中に自身で遺言と称したフィルムの輝きは悲惨を浄化し岩下は生々しさか…

ディストピア パンドラの少女

★★★ 2017年10月21日(土) 新世界国際劇場 【ネタバレあります】 文字通り絶望的な未来を描いているのだが、俺はゾンビ映画という描法がもう限界なんじゃないかと思って、そっちの方が気分ディストピアっす。 意欲的な作品なのだろうとは思う。 出だし、30…

ジョン・ウィック

★★★ 2015年10月21日(水) TOHOシネマズ梅田3 ガンカタみたいなのかと思ってたら完全な出たとこ勝負だった。そしてやはりと言うかキアヌは未だ重かった。リアリティの裏付けを欠いたままの禁漁区的エリアのゲームっぽい小便臭さもウンザリ感を煽る。下手な…

トランザム7000

★★ 1978年3月7日(火) 伊丹グリーン劇場 どうにもバカが振り切れず体制迎合的に安住してるもんだから生温くだるい。ニーダムは好漢なんだろうがファイト一発スタント命であっても見せる技術が凡庸ではどうしようもないっす。男2人をタイトルにしてるがレイノ…

下町の太陽

★★★★ 2017年10月21日(土) シネヌーヴォ 1960年を前後し松竹で若手映画人による反体制のムーブメントが起こる。 後に松竹ヌーヴェルバーグと称されるのだが、その輪に加わるこができず傍から眺めていた男がいた。 山田洋次。30歳。未だ監督昇進は果た…

緋色の街 スカーレット・ストリート

★★★★ 2015年10月24日(土) プラネットスタジオプラス1 性悪女に翻弄されるアホ親爺の物語として申し分も無いが、真の才能が世に出る絶望的な蓋然性の物語としての皮相な味付けが又良い。そして何より決定的に裁断される悪に冤罪も糞もない呵責無さ。展開の…

エレクトラ

★★ 1978年4月1日(土) SABホール 荒涼そのものの風景の中で展開する本家本流ギリシャ悲劇はゴテゴテと修飾された現代演劇を太古の起源に遡るプリミティヴさで、それだけに、物語のパッションを共有できないならば只管に苦役とも思える忍従の時間を強いられ…

関ヶ原

★★★ 2017年10月11日(水) 大阪ステーションシティシネマ12 駆け足にギュウ詰めに歴史のトピックを連ねていくのはコンセプトとしては有りだと思う。 喜八が「日本のいちばん長い日」で試みたのは正にそれであった。 それの再映画化を監督した原田監督の頭…

ギャラクシー街道

★★★★ 2015年10月24日(土) 大阪ステーションシティシネマ1 旧街道の寂れたバーガーショップの倦怠夫婦の再生譚なのだからギャグにしても寒ければ寒いほど本質に合ってる気がする。定番通りにお互いがよろめき定番通りにさやに戻る。少しだけだが感動した。…

アラン・ドロンの ゾロ

★★★★ 1976年1月5日(月) 伊丹グリーン劇場 暗黒街の貴公子又は根暗なナルシストのイメージがドゥッチョ・テッサリの誰憚らぬマカロニパワーで覆る。馬鹿陽気で屈折感がなく只管に楽しい。クライマックスの対決を筆頭に殺陣もケレン満載で期待以上に素晴しさ。…

牢獄

★★★ 2017年10月7日(土) プラネットスタジオプラス1 3重のマトリョーシカ構造で尚且つ2層目と3層目がシンクロするので予備知識なしではわかりにくい。 ただ、ペシミスティック&サディスティックなのは徹底しているし、ベルイマンが映画の語り口におい…

ハイ・シェラ

★★★★ 2015年10月24日(土) プラネットスタジオプラス1 俺の将来設計にお前はいないとか言いつつ本命に振られ即設計に組み入れちまうボギーが随分に男前だ。その演出のドライはクライマックスでも追い詰められた男を全くフィーチャーしないし、彼女にも冷徹…

フェリーニのローマ

★★★★ 1978年4月2日(日) SABホール 自家籠中の猥雑と郷愁のカオスとして呈される古代から現代に至るローマに纏わる エトセトラ。闊達だが食傷も感ずる中、「地下工事の掘削機」・「高速道の渋滞」・「古都 遺跡の照明」など偏愛的な無機物質愛には惹かれる…

アウトレイジ 最終章

★★★★ 2017年10月8日(日) MOVIXあまがさき11 前作「ビヨンド」の美点の1つであった沸点キワキワなテンションでの台詞の応酬。 それを中心で担ったのが西田と塩見だったと思う。 その2人が病み上がりでゼーゼーしながらやっとのことで言う台詞は味…

俺物語!!

★★★ 2015年11月1日(日) MOVIXあまがさき6 何だか進捗しないままループしてるかのような展開がどうかとも思うし、増量したから偉い訳でもない亮平に殊更な感興も湧かない。全ては永野芽郁ちゃんの1点の曇りなき性格の可愛らしさ。彼女のお蔭でこの胡散臭…

男はつらいよ 寅次郎相合い傘

★★★ 1978年3月17日(金) アサヒシネマ お嬢さん女優浅丘ルリ子の演じる裏街道ヒロイン「リリー」のキャラは評価が高いが何だか作り物めいて見える。コテコテすぎるのかも知れない。同じ道往く者同士の連帯愛はシリーズの決め事を破壊させかねない。そういう苦…

男の子の名前はみんなパトリックっていうの

★★★ 2017年9月23日(土) プラネットスタジオプラス1 なんというか、まあ、スケコマシ野郎の掌話であります。 これを、「いとこ同志」で同じような役を演ったジャン=クロード・ブリアリがお手の物で演じる。 2股かけられたルームメイトの女の子2人は3股…

バンクジャック

★★★ 2015年10月25日(日) プラネットスタジオプラス1 最悪の窮地でも軽やかに笑みを浮かべ続けるベイティとキュートなゴールディが「ルパン三世」の元ネタめいてる。犯行シークェンスはともかく後半の大半を台詞無しで費やす延々たる逃避・追跡行が異様な…

黒いオルフェ

★★★★★ 1978年4月1日(土) SABホール 時代を又舞台を置き換えて再解釈される古典は後を絶たないが、最高峰の1つと思われる。狂熱のリオを舞台に増幅される対比は狂騒と静寂、愛と憎悪に留まらず生と死をも炙り出すだろう。死の仮面の呼び寄せる刹那の火花…

ユリゴコロ

★★★★ 2017年9月27日(水) 大阪ステーションシティシネマ3 原作未読。 【ネタバレがあります】 冒頭10分で主人公の少女時代が描かれるが、その凡庸さに観るのやめたくなった。 「頭のネジが外れてる」と自己分析する異常者を、ああいう如何にもな演出でし…

グラスホッパー

2015年11月7日(土) 梅田ブルグ7シアター1 無自覚な悪意が跳梁跋扈し腐敗し行く日本の片隅で飽くまで個人主義的行動原理に沿い仕事を行う殺し屋たちは世界から隔絶され清清しい。浅野も山田も虚無感十全。複層のストーリーラインは底浅にシンクロし結局…

未知との遭遇

★★★★ 1978年3月31日(金) OS劇場 1981年2月10日(火) 伊丹グリーン劇場 メキシコの砂漠から幕を開けた映画は世界各地の異変を大スケールで点描し続けるのに結局、物語は局地的なマニア集団に収束される。所謂普通の人々は殆ど登場しないという超絶に閉じた世…

チキン

★★★★ 2017年9月23日(土) プラネットスタジオプラス1 クロード・ベリってよく知らんが、調べるとゲンズブールが監督した「スタン・ザ・フラシャー」ってのを俺は見ていて、その映画の主演を演った男で、まあドヘンタイの役でした。 あと、「愛と宿命の泉」…

3泊4日、5時の鐘

★★★★ 2015年11月7日(土) シネヌーヴォ 犬も食わない女同士の喧嘩というか、そもそもこの2人大概に性格悪いので怖いもの見たさ的興趣しか覚えないものの、けっこう単純で可愛いところもあるのが笑えるし、シネフィル的小賢しさとも無縁だ。取り繕いな和解…

カンタベリー物語

★★ 1978年4月9日(日) SABホール 徹底的に修正が施されたものを見て汚いと思ったが無修正版を見てもそう思いそうな気がする。それがリアルな中世だと言うなら結構だがパゾリーニの願望が多分に入り混じったそれは男色とスカトロの色彩が濃い。となれば艶め…

幼な子われらに生まれ

★★★★ 2017年9月23日(土) テアトル梅田2 バツイチ同士の再婚家庭で連れ子との関係がうまくいかないという、何の奇矯な設定もない話。 なのだが、終始不穏な緊張感が持続する。 キャスティングに因るのだろう。 「淵に立つ」の限りない悪意を飲んで潜めた男…

マイ・インターン

★★★★ 2015年11月8日(日) MOVIXあまがさき4 生きてくうえでの居場所作りの物語として見たが、総務畑で会社勤めを全うしたかのような地味で実直なデ・ニーロのキャラ付けが隘路のピンポイントを突いた。出張のホテルの一夜の腹一物な視線の交錯が微温ドラマ…

オルカ

★★ 1978年5月5日(金) 伊丹グリーン劇場 『ジョーズ』便乗企画を巨大シャチで勝負するラウレンティスの映画屋魂はありとしても無機的な殺人魚に対して情てんこ盛りの擬人化親子愛ダダ漏れでは古めかしすぎる。北海の景観は情緒を味わうまえに寒々しくて辛気く…