男の痰壺

映画の感想中心です

2017-01-01から1年間の記事一覧

デ・パルマ

★★★ 2017年11月18日 シネヌーヴォ 映画監督の研究本とかで、とどのつまり結局一番オモシロイのは監督自身の「自作を語る」であったりする。 この映画は、そこに徹していて心地良い。 冒頭、若干の出自めいたものが語られるが、あとは自作フィルモグラフィを…

天空の蜂

★★★★ 2015年9月27日(日) MOVIXあまがさき6 類型的にせよそれでも随分見れるレベルになった的感慨を感じた前段の救出劇だが後半映画は四畳半ルサンチマンの空気を纏い始める。原発をめぐる空論が跋扈する日本へのアンチテーゼ。テロルが私怨に依拠する本質…

戦艦ポチョムキン

★★★★ 1978年3月26日(日) SABホール フィルムに写し取った被写体が予め持つものだけが意味を持ち得た時代に、断片を組み合わせて意味を構築するという数百歩すすんだ発想。そして、オリジナルは伊達じゃない。教科書的な文法のみでは到底説明し切れない強…

ローガン・ラッキー

★★★★ 2017年11月18日 大阪ステーションシティシネマ9 チャニング・テイタムにせよアダム・ドライヴァーにせよ、リアクション乏しくウドの大木みたく巨体で突っ立てる。 これが、ローガン兄弟。 一方、ダニエル・クレイグとその弟2人は過剰リアクションでピ…

シグナル

★★★★ 2015年9月26日(土) 新世界国際 世界からの孤絶に今更過剰反応するほどヴィヴィッド野郎でもないが、カラックス『汚れた血』を少しく想い起すフレーム捌きと色使いにセンスを感じる。確かに随所でアチャーッとなる思い込みの偏向はあるにせよ許容範囲…

男はつらいよ 翔んでる寅次郎

★★ 1979年8月4日(土) ダイニチ伊丹 階級が滅んだ時代に、形骸化したそれに拘る姿勢は、底辺からそれを撃つかにみせかけ続けた山田の姿勢がポーズにすぎないことを逆説的に露呈させる。異端の桃井起用も更なる無惨さを煽るだけ。シリーズでも最悪の部類。(cin…

南瓜とマヨネーズ

★★★★★ 2017年11月12日(日) MOVIXあまがさき4 何が良かったのかって言われて答えようがない。 どうしようもないダメ人間のダメ衝動にもとづいてのダメ行為の果てのダメ顛末。 【女】 才能があると思い込んだバンドマンに尽くし糟糠の妻よろしく風俗で…

バクマン。

★★ 2015年10月3日(土) TOHOシネマズ梅田1 こいつらが描いてる漫画の絵面もシノプシスもクソにしか思えない以上、映画は茶番にしか見えないし、となればライバルも仲間も恋人も何もかも薄っぺらーとしか思えないのだ。所詮、俺はジャンプ世代ではない「こ…

アニー・ホール

★★★★ 1979年10月14日(日) 大毎地下劇場 多くのトリッキーな手法が試されてるが、先行者の素描か或いはお試し感拭えず数打ちゃ当たる的場当たりに留まるのだが、コンプレックスを武装し捲くし立てる台詞が同期することで追憶の中で愛惜へと置換される。キート…

ブレードランナー2049

★★★ 2017年11月5日(日) MOVIXあまがさき3 こんなんなら、いっそ物語なんて無くても良かったのに…。 終盤で「救世主」である子供を旗頭に地下に潜ったレプリカントたちが集うシーン。 俺は既視感に萎えたのだった。 これは「猿の惑星」か? 導入から…

HERO

★★★ 2015年10月8日(木) 大阪ステーションシティシネマ5 キムタクにウィッシュ口癖のチンピラがダブり何時しかスクリーンも濡れるが、それ抜きにしても彼女より松たか子のペーソスが何枚も上手だ。そして、そこしか映画の見処はない。類型挿話の継ぎ接ぎで…

冬の華

★★ 1979年10月28日(日) トーエイ伊丹 着流しではなくブレザーを着た足長おじさんヤクザは洒落た喫茶店で殺した友の娘を見守る。画を描く組長にチアリの音楽が世界をマイナス方向に補強。溜めたパッションは爆発叶わず気障なポーズの内側に埋没する。真高倉チ…

悪魔のような女

★★★ 2017年11月4日(土) 大阪ステーションシティシネマ8 言うなれば、一種のショッカーであり、こういうどんでん返しな決め手をもった映画が生き残るのは難しい。 かのヒッチの「サイコ」もそうなんだろうが、あの映画の場合も母親のミイラとかトニパキの…

黒衣の刺客

★★★★ 2015年10月5日(月) なんばパークスシネマ9 もどかしく寸止めが繰り返される語らいや風景のように処される技斗が常道カタルシスから遠いとしても、この年月を費やし工芸品のように磨き上げられた画面の隅々から立ち上る無常感。それでも生きていくし…

炎の肖像

★★★ 1977年6月5日(日) 東梅田シネマ ろくすぽストーリーを構築する気もなくでっちあげたシラケ&ド艶歌紋様だが、関わり合う男も女もロックスターのステージの裏側の空虚な孤独を浮き上がらせる為に意味不明の記号として配置されたのがいっそ心地良い前衛加…

ミックス。

★★★★ 2017年11月2日(木) TOHOシネマズ梅田2 ガッキーの貧乳がそそります。 以上。 で済ませたいが…。 で、こんな映画に★4つける俺もどうかしてるとは思うのだが…。 しかし、男子として生を受けた日本国中のオスどもで、ガッキー嫌いって奴はまあ多分いな…

ローリング

★★★★★ 2015年10月12日(月) 第七藝術劇場 内向きに閉塞した地方都市で若者たちは腐っていく。その捩れた狂気を盗撮や転生や電気ドリルやソーラーパネルetc…といったギミック弄して描くあたり正しく「シンセミア」的であるし3人称語りも寓話的だ。停滞を…

衝動殺人 息子よ

★★★★ 1979年11月17日(土) ダイニチ伊丹 1980年9月26日(金) 伊丹ローズ劇場 救い難いまでの時代錯誤感とあからさまなメッセージ臭を割り引いても尚、真摯さは心を打つ。1.5線級の配役陣の入魂の演技と岡崎宏三の平板でありつつ的確な深度を携えたカメラワ…

ゲット・アウト

★★★ 2017年11月1日(水) TOHOシネマズ梅田10 どんなホラー版「招かれざる客」が展開するのかと思ったら、彼はすんなり受け入れられる。 そのことからしておかしいのだ。 だって、彼女は両親には告げていないと言ってたじゃないか…。 ことがあからさまにな…

美しい夏キリシマ

★★★★ 2015年8月22日(土) シネヌーヴォ 地方のコミューンのエロスとタナトスの混在を描いて『祭りの準備』姉妹篇の趣があるが、男が不足する世界で枯れた原田が色気を抑え基軸となり世界をこちら側に繋ぎとめている。総じて女優陣も素晴らしいが、それ以…

スラップ・ショット

★★★★ 1978年3月7日(火) 伊丹グリーン劇場 土壇場になれば人は地平を乗り越え得るのだ。お坊ちゃんプレーのこいつらが反則 連発のヒールのスターとなる越境の「仕方」にある「納得性」が見る者を感銘させる。勿論 、起爆剤としての「ハンセンブラザース」は最…

彼女がその名を知らない鳥たち

★★★ 2017年10月25日(日) MOVIXあまがさき2 原作を読んであんまり時が経っていないし、大きな改変もないので印象は「読まずに見た」より落ちる。 力作だとは思う。 しかし、原作の最初で最後的な一発入魂ぶりを思うと、まだ緩いのだ。 原作の肝となる…

GONIN サーガ

★★★ 2015年10月10日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 因果といっても傍流の話で何がサーガやねんとも思える偏屈展開のくせに、やたら初作をインサートさせる世間への阿りが潔くない。バージョン劣化が明らかな面子のなか竹中やアンナが良いといって…

夜叉ヶ池

★★★ 1979年11月17日(土) ダイニチ伊丹 冒頭の大干魃とラストの大洪水を海外ロケで強引に繋ぐ映画的一大ハッタリズムは良しとしても魔界の装置が舞台の呪縛に囚われている。何より玉三郎が白雪姫は兎も角、生身の女を演じることに致命的な無理があるのに約束…

霧の旗

★★★★ 2017年10月21日(土) シネヌーヴォ 女の執念を、これでもかとネバっこく描いた点で、増村の「妻は告白する」と双璧かもしれない。 倍賞千恵子の心根を見せないが底にナイフを忍ばせたかのような冷たい表情は絶品。 だが、俺はそこより演出面での山田洋…

非行少女

★★★★ 2015年10月18日(日) シネヌーヴォ お決まりな更生と転落が振れ幅を加速しつつ行き着いた矯正施設での彼女の達観はそれでも心打つ。真の意味での目覚めを描きそれでも尚駅での愁嘆場を経て旅立つ少女の未来に幸あれと思う。自立する女性とダメ男を描く…

任侠外伝 玄海灘

★★ 1979年11月24日(土) 伊丹ローズ劇場 定型演技を繰り広げる安藤、宍戸では既成枠を打ち破るパワーに欠け、物語からは在り来たりの因果話しか感じ取れない。演劇的アナーキズムをスクリーンに焼き付けるには逆説的に周到な映画戦略が要件なのだ。終盤のドブ…

アトミック・ブロンド

★★★★ 2017年10月24日(火) TOHOシネマズ梅田8 シャーリーズ・セロンはよくやっていると思う。 少なくとも「マッド・マックス」よりはるかに良い。 だが、こういう体技のキレが要されるアクションでは、やっぱり天賦の才がものを言う。 ミシェール・ヨーや…

木屋町DARUMA

★★★ 2015年10月12日(月) 第七藝術劇場 極めて常道の展開でスカされた。身障者を食い物にする図式も描かれるが傍景でしかなく、主人公がダルマになった或いはされた事実は物語を転がさないのだ。エンケンはちょっとしんどい。一方三浦誠己が演じる男が複雑…

白夜の調べ

★ 1978年1月29日(日) 伊丹ローズ劇場 栗原小巻もユーリー・ソローミンも決定的に色気が欠けているので、木偶の坊の惚れたはれたを延々と見せられて苦痛である。加えてロシアの風土がうそ寒く日本は京都の風情までもが何故か沈鬱極まりない。時代錯誤な製作姿…