男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【さあ~さの】

サイド・ストリート

★★★★ 2019年6月22日(土) シネヌーヴォ 「フィルム・ノワールの世界」という企画で見た。 この企画、見たいものがそこそこあるのだが、ほとんどがデジタル上映なので敬遠していた。 今回、他に見たいのがあって、どうせならとついでに見たのだが。 アンソニ…

最前線物語

★★ 1981年12月10日(木) 伊丹ローズ劇場 戦争のポリティカルな側面ではなく末端の兵士のミクロな視点から描く。そこまでなら目新しくもないが、ここではそれらが日常の延長として提示される。極限の狂気は存在しなかったかの如くダルな物語が綴られていくだけ…

最強のふたり

★★★ 2014年5月11日(日) トビタシネマ リアルワールドでシャレにならぬほど蔓延した「介護」と「貧困」を基軸とした物語だけに一物を溜めて観ることを避けられないのだが、「王様と乞食」的教育と発見の喜びが牽引する。富豪の2人の秘書女性が随所でジャン…

THE GUILTY ギルティ

★★★★ 2019年3月16日(土) シネリーブル梅田1 電話する主人公のみを追って通話の相手は一切画面に登場させないってのは、「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」って傑作があったし、緊急コールセンターも「ザ・コール 緊急通報司令室」ってのを見てる。…

ザ・イースト

★★★ 2014年5月24日(土) 新世界国際劇場 潜入操作ものの定番通りにミイラ取りがミイラにと展開し主人公の心の揺れを描くに見せかけるが、根底では環境テログループを否定的見解を内在させつつ冷徹に見定めるので、結果として映画は曖昧なスタンスに終始せざ…

サスペリア

★★★★ 2019年1月26日(土) TOHOシネマズ梅田7 オリジナルは初公開からずいぶん経ってから見たが、つまらないと思った。 唯一、最初の空港シーンで自動ドアの開閉に内部のギアが動くショットが挿入されるのに感心したのみ。 ルカ・グァダニーノって監督…

ザ・スパイ シークレット・ライズ

★★★ 2014年8月5日(火) 新世界国際劇場 基本設定が『トゥルーライズ』まんまなのはまあいい。華のない主演2人だが、市井のおっさん・おばはん然とした見てくれが味わいもある。だが、南北ネタの割にヒリヒリ感が薄くマクガフィン的脱北少女を巡る攻防も置…

さすらい

★★★ 1980年9月13日(土) SABホール 2度とは戻れぬ過去にしがみついて虚無と絶望の狭間をたゆたう様が、アントニオーニの後のグエッラ共闘作品のような透徹された先鋭ではなく物語の枠に未だ拘泥しており緩く平凡に感じられる。急転直下に流れを断ち切るラ…

ザ・シークレット・サービス

★★★★ 2014年10月19日(日) トビタシネマ ダラスに於けるトラウマが一応捨て身の横っ跳びで回収されるが、その部分は全然本気じゃない。ピアノ弾きつつ女口説き、結構しつこく追い回す親爺をイーストウッドが水を得たように快演。ジャッカルばりに八面六臂の…

SUNNY 強い気持ち・強い愛

★★★★★ 2018年9月12日(水) 大阪ステーションシティシネマ6 韓国版オリジナルも見ているが、佳作だと思った覚えがある。 その日本版リメイクとくれば、昨年の「22年目の告白」がてんで劣ったように見えた苦い思い。 そういうのがあって、さして見る気にも…

西遊記 はじまりのはじまり

★★★ 2014年11月23日(日) TOHOシネマズ梅田2 『カンフー・ハッスル』終盤の元ネタはこれだったのかという悟空登壇以降の既視感は同時に出涸らし的興味減殺をもたらす。悟浄・八戒の想定外の鬼畜キャラの振り切り具合や一方で馴染みのベタギャグの連発…

座頭市と用心棒

★★★ 2015年3月28日(土) トビタ東映 「ばけもの」「けだもの」と呼び合う両雄ががっぷり四つに対峙するわけでもない。痴話喧嘩程度の抗争が眠く展開も遅滞。喜八演出は出涸らしの形骸だ。文子・三船のレア絡みも生煮え。只ラスト10分だけは撮影と美術が演…

サタデー・ナイト・フィーバー

★★★ 1978年8月6(日) 阪急シネマ 『ウエストサイド』ばりにブルックリン空撮から下降したカメラが「ステインアライブ」に突入する開巻が白眉。とっぽい風だが根真面目なトラがエグゼクティブ姉ちゃんに尻叩かれ一念発起も所詮ローカルダンスコンテストで優勝…

サイレント・パートナー

★★★ 1980年11月26日(水) 毎日文化ホール サイコなパラノイアと小心な真面目男という構図は何時しか崩れ小心者はけっこう大胆になっていく。その変化を脚本は巧くは衝いてないので何処か大味。確かにクリストファー・プラマーは相当に不気味だが『殺しのドレ…

女囚701号 さそり

★★★★ 1980年12月25日(木) 梅田東映ホール 劇画的であることに自覚的であり大胆としか言いようのない誇張演出が壺にはまった前半は文句なしの傑作。ロジカルな唯物史観の高みにさえ到達し得ているかのようだ。が、情に浸食された後半は一気にトーンダウンして…

サウンド・オブ・ミュージック

★★★★★ 1976年2月1日(日) 伊丹グリーン劇場 1976年3月29日(日) ビック映劇 大甘お子様ランチでも贅の限りを尽くし冴えた演出にかかるとヒネた大人でも涙する。結婚式や音楽祭の巨大なリアリティとアルプスの大パノラマの美しさに素直に感銘した。そして、今で…

サード

★★★★ 1979年4月2日(金) 伊丹ローズ劇場 1980年8月16日(土) 毎日ホール 閉塞世界に穿たれた風穴から見える幻影の「九月の町」は蜻蛉のように儚いが、一方で確固たる現実世界は劇画チックに暑苦しい。モラトリアムということの平熱での表現。底流では通暁する…

サイの季節

★★★ 2015年7月25日(土) シネリーブル梅田4 真摯な想いは確かなのだろうが内省的に気取った技法を弄するよりも、もっと成振り構わぬ愛する者への本気を見せろと思えるのだ。亀は『マグノリア』の、終盤の顛末はミンリャン・チャヌク映画の2番煎じ。サイの…

さすらいの航海

★★★ 1977年12月18日(日) 伊丹グリーン劇場 ユダヤ虐待が規定の事実としても、船客たちの故国を棄て異郷の地へ向かわねば ならない背景をもう少し描いて欲しかった。希望が砕かれさすらい人となる悲哀が断片的 な心理的パニックに終始するのでは描写が浅いと…

ザ・ウォーク

★★★ 2016年2月7日(日) MOVIXあまがさき4 スッカスカ話を1点突破すれば絶対映画の領域にもと思ったが所詮ハリウッドマターでなるわけない。凡述懐をレヴィットで語らせるW役満振り込み的ハコテン演出。CG全依存の鳥飛来に何の意味があろう。チャップリ…

最高殊勲夫人

★★★★ 2017年4月22日(土) シネヌーヴォ この時代のサラリーマンってのは、高度成長を背景に我が世の春を謳歌してたんでやんす。 男も女もとことん前向きっす。 すぐに求愛するし、振られてもメゲないし、2股3股当たり前だし、競争大好きだし。 陰々滅々と…