男の痰壺

映画の感想中心です

ひな鳥の冒険

★★★★ 2016年7月27日(水) TOHOシネマズ梅田10 子供の頃毎日が新しいステージへの挑戦で、おっかなびっくりでもクリアしていけたその成功体験の幸福。初めて海中から水中眼鏡越しに見た水面の煌きの感動を50年ぶりに想いだした。ただ露払い役の細緻なC…

カラーパープル

★★★★★ 2024年2月26日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 スピルバーグの作品は未見です。もし見てたら今作を見る気は起きなかったろうし、そもそもそういったこと抜きにしても見る気はなかった。安牌狙いの迎合的なもんだろ思ってました。たまたま空いた…

日本妖怪伝 サトリ

★★★★ 2017年1月23日(月) シネヌーヴォ 妖怪サトリは山谷初男の小太りおっさんで人の心を読むのだが、その設定にさしたる意味も無い。 映画の主眼は緑魔子のモラトリアム女性のノンシャランな行動を追うことのようだ。 緑魔子は初見ではないが、今までで一…

マーシュランド

★★★★ 2016年7月9日(土) 新世界国際 映像主義的皮相に陥りそうな作風だがポン・ジュノ的に風土が産む闇への親和傾向が現出しリンチ的に何重にも錯綜した混沌を呈するあたり、一筋縄でいかない。ただ、うっちゃりめいた終局は更なる闇を深化させる同時にどっ…

ボーはおそれている

★★★ 2024年2月26日(月) 大阪ステーションシティシネマ12 夢というのは心理の奥底から浮かび上がった断片が未整理なカオスを形成したもので、俺もたまに見た夢のことを書いたり話したりするが、そんなもん他人からしたら、あっそーレベルの大して興味もわ…

スケアクロウ

★★★ 1976年1月11日(日) 毎日文化ホール 1980年5月22日(木) 関西学院大学学生会館大ホール 漫画のようにキメキメの寓話めいた出会いのシーンから始まる割には寒々しいリアリズムな世界で終始するのが少しバランスを欠いてるように感じた。役者は巧いが侠気は…

新宿スワンⅡ

★★★ 2017年1月23日(月) TOHOシネマズ梅田3 いきがったって所詮、女の上前はねる口入屋じゃねえ? というのは置いといて、俺は前作を虚構の男騒ぎの完璧な創造物として評価する立場である。 でも、今回は流石に因縁を持つ男同士のガチ邂逅とヤクザ、ヤク中…

淵に立つ

★★★★ 2016年10月8日(土) シネリーブル梅田 舐めてると牙を剥いてくる悪意の奔流は遍く我々のすぐ隣に内在する。残念ながらそれに抗する術は無いのだという諦念に於いて優れてイ・チャンドン的だ。カメレオン作家深田の新たな鉱脈で男優2人に四つで対峙す…

燃えつきた納屋

★★ 1974年12月22日(日) 伊丹グリーン劇場 ヴィエルニーに捉えられた雪に閉ざされた閉塞感と凍えそうな寒々しさは良く出ているものの、劇的な起伏まで閉塞されては映画まで寒々としてしまった。結局、ドロンVSシニョレのキャスティング1点頼りで、それ以上…

イ・サンヨン Sang-Yung Lee

生年:/// kenironkun.hatenablog.com

期待と不安

ほんまにやるんや。 45年ぶりかー、って半世紀やん。 大丈夫かいな。 kenironkun.hatenablog.com kenironkun.hatenablog.com kenironkun.hatenablog.com

長屋紳士録

★★★★★ 2024年3月3日(日) シネヌーヴォ 「晩春」以降の小津作品は大方見ていると思うのだが、戦前・戦中・戦後すぐあたりのはそんなに見ていない。これは、大戦から復員した小津の復帰作だそう。どうかと思ったが紛れもない傑作だった。 後期の作品は娘の縁…

犯罪都市 NO WAY OUT

★★★ 2024年2月26日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 シリーズ3作目らしいが前2作は見てません。そもそもマ・ドンソクが主演の映画って「悪人伝」くらいしか見てない。まあ、あれも完全なピン主演ではなかったすけど。 格闘家出身ってことで鉄拳での…

大砂塵

★★★ 2016年10月9日(日) プラネットスタジオプラスワン 四角関係のようなものを描いてるのだが妖怪化する直前の女2人に色気もクソもなく全然そそらない。男勝りの鉄火肌にも成り切れぬので野郎どもは唐変木の烏合の衆と化する。山間でやたら爆発が起こった…

ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄

★★ 2017年1月23日(月) 新世界国際劇場 ドイツの監督のウーリー・エデルは80年代にちょい脚光を浴びた。 「クリスチーネF」と「ブルックリン最終出口」が有名だが両方見てません。 ただ90年代に渡米しマドンナ主演で「BODY」を撮った。 これは見た…

フェリーニの道化師

★★★★ 1977年12月11日(日) 元映 1980年5月11日(日) SABホール 少年時代の回想は『アマルコルド』へ、監督自身が登場するフェイクドキュは『ローマ』へと伸延されて結実する。幼少時の記憶の中の残像は得てして主観に装飾された虚像なのだ。これは老いて消…

沈黙 サイレンス

★★★ 2017年1月22日(日) MOVIXあまがさき3 彼がそれを踏む。 映画はその瞬間に全てのエモーションが集約するようには作られていない。 神の在・不在を自問自答し煩悶するということ。 それは、虐殺される多くの島原の隠れ切支丹たちの姿と密接にリン…

ジュスティーヌ・トリエ Justine Triet

生年:1978/07/17 kenironkun.hatenablog.com

落下の解剖学

★★★★ 2024年2月25日(日) MOVIXあまがさき4 カンヌでパルムドールってことで何か斬新なアイデアが呈されたのか思ったらそういうことではなかった。物語の構造はオーソドックスといっていい。それを2時間半かけてじっくり丹念に描いている。 【以下ネ…

TOO YOUNG TOO DIE! 若くして死ぬ

★★★★ 2016年7月10日(日) MOVIXあまがさき7 さして感心も出来ぬ狂騒でいっそ主役2人をヨッちゃん・ROLLYとでも総とっ替えでもすりゃよっぽど地獄らしい。が、男が彼女に対してしたこと・しなかったことへの悔恨が無限連鎖するロマンティシズムはゴン…

ひまわり

★★★★ 1976年5月30日(日) 阪急文化 1976年8月3日(火) SABホール 序盤の笑劇的導入が温いなりに効き悲劇への転調を際立たせる。絶望の中から見出した微かな希望を胸に1人行く異国。沈む気持ちに突き刺さる広大な向日葵畑と煽情的音楽は大向うを唸らせるこ…

64 ロクヨン 前篇

★★★★ 2016年6月5日(日) MOVIXあまがさき9 男が理のないことを通せざるを得ないとき、すり替えギリで搦め手から感情論でゴリ押しに突破する様を真正面から描く。映画は仕方ないことだと共感を漲らせている。警察機構のヒエラルキーと摩擦を多くの顔に味あ…

サボタージュ

★★★ 2017年1月14日(土) プラネットスタジオプラス1 技法の突出はさほど無い。 しかし、越境感は半端無いと思う。 テロルは怨嗟や怒りに根差さない。 ただ騒乱を起こすためにある。 子供は死なないというコードは知ったこっちゃない。 当たり前に木端微塵…

パリは燃えているか

★★ 2024年2月23日(金) プラネットプラスワン オリジナルが3時間なのに対して見たのは2時間半の短縮版、フランス語版がベターだろうが英語版、おそらくシネスコだったろうがスタンダードへのトリミング版、と満身創痍のものを鑑賞したってのを割り引いて…

一月の声に歓びを刻め

★★ 2024年2月19日(月) MOVIXあまがさき1 このわけわからなさは何やろかと三島有紀子のインタビュー他読んでみたんですが、自身が幼少期に受けた性被害がテーマの根っこにあるらしい。そういうことを公にして作品を作る決意には並々ならぬものを感じ…

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

★★★★ 2017年1月15日(日) MOVIXあまがさき8 マニュアルライクな代物と高を括っていた。 なんせ俺は「ハリー・ポッター」だって1本も見たことない男なのだ。 でも、素直にハリウッドの誠心誠意の本気汁が注力された本作に平伏します。 30年代と思し…

おかしなおかしな大追跡

★★ 1976年5月16日(日) SABホール スラプスティックはシテュエーション・コメディより難易度が高いことをマザマザと見せつけられる。命を張らんばかりの芸のみが感銘を与え得るのに坊ちゃん嬢ちゃんのママゴト芸を頭でっかちが撮ったって小賢しさしか覚え…

日本で一番悪いやつら

★★★★ 2016年7月16日(土) 梅田ブルグ7シアター5 文太・松方あたりで散々やり尽された物語の焼き直しだし、綾野も成り上がり演技が『新宿スワン』とかぶる。ただ、上場企業から振り込めサギまで日本 風土に遍く蔓延する「成果主義」という怪物を徹頭徹尾フ…

シェルブールの雨傘

★★★ 1976年8月3日(火) SABホール 浪花節だよ人生は的な物語を情緒メロメロの歌曲でビショビショにまぶしてくれるので息苦しい。本来小ネタで繋ぐ挿話も歌で綴られ身に沁みない。ストーリーを今更に読み返して見るといい話なのだがストンと落ちないのだ。…

ネオン・デーモン

★★★ 2017年1月13日(金) 大阪ステーションシティシネマ2 成り上がりモノとしての体裁を保っている前半は演出も硬質にエッジが効いており良いのだが、後半、構成上の破綻が演出も浸食しグダグダ感が弥増す。 もちろん、意図された破綻なのだろうとは思う。 …