男の痰壺

映画の感想中心です

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

私の男

★★★★ 2014年6月23日(月) 大阪ステーションシティシネマ8 「私の男」ならぬ「俺の女」的男視線に変換されたと思しき構成はヘタ打てば「飼育」ものと同質化する構造を孕む為どうにも腑に落ちない。が、2度の事件を筆頭に描写が突き放した怜悧を維持し米犯…

旅の重さ

★★★ 1980年6月11日(水) 毎日ホール 思い込み少女の一夏の経験は万事作り事めいて白々しく、こっ恥ずかしいこと甚だしいが、一応三国や高橋悦史が大真面目に脇から締めているので見れるものにはなっている。高橋洋子の瑞々しさも救いではあった。(cinemascape)…

ヴェラクルス

★★★★★ 2019年1月26日(土) プラネットスタジオプラスワン メキシコ、アーネスト・ボーグナイン、ガトリング銃とくれば否が応でも「ワイルドバンチ」を連想する。 そういう意味で、これは源流とまではいわなくても少なからず触発を与えた作品ではなかろうか…

ウォーロード 男たちの誓い

★★★★ 2014年7月4日(金) トビタシネマ 信義則を貫くことと怜悧な現実主義とが待ったなしの極限状態で相克するドラマは納得性があるし荘厳だ。しかも、所詮は戦乱下に権力者達の道具として朽ちるしかないというシニカルな詠嘆が全篇を覆う。あと夢幻のような…

バレンチノ

★★★★ 1980年6月4日(水) 毎日文化ホール 生きる縁を本能で知悉したように飛び石の如くに女たちを伝って時代を駆け抜けるバレンチノの内面をラッセルが描こうとしたとも思えない。20年代ハリウッドを取り巻くショービズ界へのノスタルジーが全てで、そういう…

マスカレード・ホテル

★★★★ 2019年1月27日(日) MOVIXあまがさき6 見て3日ほど経っているが、もう第一に思い出すのは長澤まさみの「脚」ばっかなのだ。 脚線美ってよく言うが、彼女の場合、それを超越してるような気がする。 キムタクと並んで腰かけて会話するシーンがあ…

ニード・フォー・スピード

★★★ 2014年7月4日(金) なんばパークスシネマ10 ほんまにCG無しかいなという疑惑が頭をもたげないでもないのだが、中盤のタイムトライアル的大陸横断疾走が否が応でも『バニシング・ポイント』を懐旧させつつ、イモージェン嬢の加速的な魅力増大が色を…

郵便配達は二度ベルを鳴らす

★★★★ 1980年6月22日(日) 梅田東映ホール 冷血なアメリカン・ハードボイルドを情のイタリアン・ネオリアリズモに置き換えても、必要以上にベタつきもしないのはヴィスコンティの破滅志向が根底にあるからだろう。絶妙のバランス感覚に立った処女作。カラマイ…

チワワちゃん

★★★★★ 2019年1月22日(火) 梅田ブルク7シアター3 岡崎京子の漫画は読んだことがないし、映画化された「ヘルタースケルター」も「リバーズ・エッジ」も未見。 有体にいうと若者の狂騒の日々とそこで命を落とした女の子の物語。 っていうと食指はほとんど動…

暴力教室

★★ 2014年6月26日(水) トビタ東映 鯛焼きちょろまかして粋がる不良クールスの面々に激しく萎えるし、トレーナーでチャリ漕ぐ優作もけっこうマジメだったりする。で色々あるのだが、最後は日本刀振り回す学校理事長安部徹ってまんま「残侠伝」世界に逆行。…

ファイナル・カウントダウン

★★ 1980年6月23日(月) SABホール 曲がりなりにもタイムスリップという映画的題材を主題としながら、見所は本物の空母ミニッツと艦上から発進する戦闘機だけという竜頭蛇尾ヘタレ映画。大体、肝心の「パラドックス」ネタに踏み込む前に終わっちまうんだっ…

殺られる

★★★ 2019年1月20日(日) シネヌーヴォ 前置きなしで、いきなり渦中に投げ込まれる。 そういう意味でタイトな作りである。 冒頭で「フランスでは年間で数千人の処女が失踪する」みたいなテロップが流れる。 で、夜な夜な遊びに出かける恋人をつけた彼氏が巻…

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士

★★★ 2014年7月14日(月) トビタシネマ 歴史の暗部に居座る老人たちが何をしでかし隠そうとしてるのかが今いち見えないまま、物語は又も変態医者のリスベット虐待話に収斂していくので釈然としない。エピソードは豊富で個々に見ればけっこうイケてるので、長…

ピロスマニ

★★★ 1980年5月24日(土) SABホール 数多ある没後に評価された薄幸の画家物語として殊更心揺さぶるものでもない。基本働くの嫌い酒大好き野郎なので冷視線を拭えないのだ。が、ピロスマニの作品を丸ごとフィルムに定着させたかの如き一貫したトーンの統一が…

夜明け

★★★ 2019年1月19日(土) シネリーブル梅田4 そもそもに、川っぺりで倒れていた青年を見つけて家に連れ帰って介抱しようとするってのに違和感。 現代の日本で普通はそうしない。 119番にTELするだろう。 まあ、それは訳があったってことなのだが。 こ…

さよならをもう一度

★★★★ 2014年7月4日(金) トビタシネマ サガンの中年女性への嗜虐的いたぶりがパリを舞台にした異郷感とシンクロして、受け一方のバーグマンの孤独感をいや増させる。ヌーベルヴァーグのようなシニカルさだ。トニパキの若気の至り的ダメさとモンタンの中年の…

思えば遠くへ来たもんだ

★★★ 1980年8月19日(火) 伊丹グリーン劇場 古生代ジュラ期の化石の如き民青イズム臭横溢する物語とニキビ汁と四畳半のスペルマを彷彿させる海援隊というマイナス要因が合体し2乗されれば何故か普通の映画になった。何かが変わる気配は微塵も無いけど、叙情性…

ミスター・ガラス

★★★★ 2019年1月19日(土) TOHOシネマズ梅田6 【ネタバレありです】 「アンブレイカブル」の続篇だってことは知っていたが、「スプリット」も連関してるってのは何分未見であるので知る由もない。 まあ、それでも面白かった。 筋としては、いまさら言っ…

麦子さんと

★★★★ 2014年1月11日(土) TOHOシネマズ梅田6 構成は脚本段階で省略が効き、安易に大林的ジュブナイルな陥穽に落ちないのも好感を持った。低温兄妹も心根の奥では親への思慕は持ち合わせていることを自認する。ベタだが随所でそこそこ辛辣で納得性がある…

アレンジメント 愛の旋律

★★★ 1980年5月28日(水) 毎日文化ホール 『8 1/2』的自己探求と言えば聞こえは良いが単なる不倫の自己釈明と思えなくもない。どっちにせよカザンの想いは1人よがりで普遍化されているとは思えずニューシネマ勃興期に登場した出遅れのフェリーニもどきの感が…

日の名残り

★★★★★ 2019年1月19日(土) 大阪ステーションシティシネマ5 趣味な映画なのだが、公開当時なんで見なかったかと考えるに、 アンソニー・ホプキンスに辟易してたからだと思うのだ。 これは、1991年の「羊たちの沈黙」の2年後の作品である。 徹頭徹尾、…

過去日記2003上半期

上半期1年の半分を過ぎようとしているが、見た映画が55本。年間100本ペースでは昨年の半分にしかならない。 一重に根性不足であった。気力が足りない。 …と思いつつも激しくしんどい。 宝塚はヒモ馬の連対で藻屑。滅多に買わない流し馬券で泣いた。通…

過去日記2002

裏ベストテン数えて見れば、今年、映画館で観た映画は168本であった。思い起こせば学生時代の暇な頃、映画館でバイトしながらのただ見も含めて200本いったことなかったのであるから、41歳の家庭持ちで給料取りが、この本数をこなすのは狂気の沙汰で…

オール・ユー・ニード・イズ・キル

★★★★ 2014年7月6日(日) MOVIXあまがさき11 リセッタブルな運命なんて糞食らえだが、こうまで過剰にリセットしまくりだと、ギャグ臨界線上での均衡がスリリングに感じられ、反復の省略術が基本に忠実で巧緻なのも快感神経を刺激する。演出は安定感が…

恋する女たち

★★★★ 1980年6月4日(水) 毎日文化ホール 後のアイヴォリー作品に通底する英文学の気品と芳香。やり放題未満のラッセル演出の頃合がこの時期最も好ましい。破綻するしかない2人とそうでない2人。その運命的詠嘆のアイロニーが醸し出されず終盤は物語世界に追…

蜘蛛の巣を払う女

★★★★ 2019年1月14日(月) TOHOシネマズ梅田3 何の因果か知らないがスウェーデン版3部作もフィンチャー版も見ている。 が、俺は、このリスベットという不幸な生い立ちでパンクヘアでピアスでタトゥーで小柄でレズビアンでフェミニストで天才ハッカーな…

華麗なる賭け

★★ 2014年7月14日(月) トビタシネマ 柄じゃないの一言で済ませたいが、加えて過剰なナル汁に咽せ返りそうだ。犯罪ゲームを巡る暴き合いや騙し合いはロクにないくせにしたり顔のラストは最早どうにでもしてくれ状態。唯一チェスシーンのダナウェイの指使い…

まことちゃん

★★★ 1980年8月12日(火) 伊丹ローズ劇場 楳図ワールドの持つオドロオドロ描写での糞尿イズムに彩られた下品世界が芝山流にマイルドに中和されたにしても、予想以上に世界観を踏襲した出来には意外性があった。明晰な色使いでテンポ良く展開されるアニメの枠内…

クリード 炎の宿敵

★★★ 2019年1月13日(日) MOVIXあまがさき9 ドラゴ父子かわいそう…って、そう思ってしまう物語軸ってどうなんよ。 そのへんスタローンも焼きが回ったと思うのだ。 まあ、そんなこと抜きにしても安直な物語ではあるのだが。 子供のころ、タイソンの試合…

her 世界でひとつの彼女

★★★ 2014年7月12日(土) なんばパークスシネマ9 無菌化されたホアキンとビジュアルを封殺されたスカヨハの反記号性が剣呑さを孕んで一応は物語を牽引するが展開は予定調和。代理彼女が登場するが流して物語を転がすポイントを失した。特筆すべきはOSの…