男の痰壺

映画の感想中心です

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

抱きしめたい 真実の物語

★★★ 2014年2月7日(金) 大阪ステーションシティシネマ1 「逃げるなら今のうち」と言う台詞の重みが夜のメリゴーの煌きに融解する場が白眉だが、物語はそれを回収するわけでもない。脳性麻痺ブラザーズ他リアリズム志向のバックグラウンドが買えるだけに詰…

父子草

★★★★ 1981年9月13日(日) 新世界東宝敷島 何がどうということもない大船的人情劇なのだろうが、宝塚映画のある種な場末感と渥美清の一種いかがわしい演技が丸山誠治の愚直なまでに手堅い演出を得て結晶体のような硬質な輝きさえ帯びている。(cinemascape) ken…

マルリナの明日

★★★ 2019年6月22日(土) シネヌーヴォ ナシゴレンウエスタンと称されてるらしいが、思っていたのと随分違った。 マカロニウエスタンに見られるような活劇的なものは、ほとんど無い。 土俗的で説話的で、俺はちょっとグラウベル・ローシャの「アントニオ・ダ…

泥棒成金

★★★★ 2014年1月26日(日) MOVIXあまがさき9 タカビーに見えても何かと託けて寄って来るグレースが男の自惚れ鏡を顕現させ全篇仄甘い。カーチェイスにせよ舞踏会にせよダレ臨界の尺の微妙さだが、それも又弛緩した甘酸っぱさをもたらす。エッジの効い…

モア・セクシー 獣のようにもう一度

★ 1981年8月13日(木) ダイニチ伊丹 別に「カナダからの手紙」の女の子に興味があったわけでもないし、正直言ってガラじゃない感じで遣りきれない。こうも主演女優に魅力が無ければ、正統東映ピンキーバイオレンスの復刻も痛々しく白々しい。結果太田あや子…

マザー、サン

★★★★ 2019年6月22日(土) シネヌーヴォ 母を看取る数日間を描いた映画で、出演は母と息子の2人だけ。 2人の背景もなにも一切説明なしです。 どっか、人里離れた朽ちかけの家で、2人は静謐にその瞬間を待ってるよう。 息子が介護をしながら何考えてるかっ…

エージェント・マロリー

★★★★ 2014年2月5日(水) トビタシネマ 高を括って見始めたそばからのダイナーでの顛末。華麗な関節技でのワンサイドな【テイタム】ボコ遣られに一気に覚醒したアドレナリンは最後まで退かない。本気が横溢した映画でミッションの腑に落ちなさもどうでもいい…

ブルース・ブラザース

★★ 1981年8月31日(月) 新劇会館 いい子ちゃんぶってチョイ悪入れてみました的2重構造のあざとさが全篇を被い乗れない。何よりランディスの演出はカッティングが稚拙で破壊の狂騒を単発のブツ切れで繋ぐだけでは映画的エモーションが生じるわけもない。白痴…

ザ・ファブル

★★★ 2019年6月20日(金) 大阪ステーションシティシネマ1 冒頭の殺戮シーンで、いらん小技を効かせやがってと、一挙にテンションは下がった。 監督の江口カンは前作「めんたいぴりり」では朴訥ともいえる作風だったに、チャラくなりやがってとも。 土台、ボ…

小さいおうち

★★ 2014年2月15日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 何十年も秘めた想いを紐解く作りになっていない。戦時下の火遊びが露見せずに済みましたっていう程度の話ではないだろう。3角関係の2辺しか描けない山田には尺に合わない企画。『東京家族』から…

おもいでの夏

★★★★ 1981年9月5日(土) 毎日文化ホール 泡沫の如くに過ぎ去るひと夏の淡い思い出が人生に何を呈するのかなぞと野暮は言わずに浸りきろうという割り切り。ズームやスローモーションの多用がかなり煩いが、ここまで戦略的にやられると諦めがつく気もする。ベ…

サイド・ストリート

★★★★ 2019年6月22日(土) シネヌーヴォ 「フィルム・ノワールの世界」という企画で見た。 この企画、見たいものがそこそこあるのだが、ほとんどがデジタル上映なので敬遠していた。 今回、他に見たいのがあって、どうせならとついでに見たのだが。 アンソニ…

アメリカン・ハッスル

★★★★ 2014年2月15日(土) TOHOシネマズ梅田4 締り無いダラな本だが、そのダラさまでもが寄与する70年代の空気。ラッセル前2作の面子総出のコラボはハイテンションな演技合戦のお祭り気分が横溢し御代登場でサビをも効かせる。付いては離れて又付く…

醉いどれ天使

★★★ 1981年9月13日(日) 新世界東宝敷島 三船も山本も格好つけ過ぎで本物のヤクザには見えない。大体、自滅しゆく男は放置すればいいのであってヒューマニズムの医者は余分だし多分に形骸的。闇市セットも造形美には遠く、ましてや独表現主義的幻想シーンのチ…

海獣の子供

★★★★ 2019年6月19日(水) TOHOシネマズ梅田4 原作未読です。 女子高生の日常のミニマムな悩みとかから始まった物語が、どんどん流転・漂流して、クライマックスは「2001年」のスターゲイトのような神秘・宗教的世界に突入し、そして再び日常に戻る…

舟を編む

★★★★★ 2014年2月16日(日) MOVIXあまがさき10 押せ押せのベタ展開に乗っかってる一方で、このセルロイドの無機人形のような理解の及ばぬカップルが映画内で成立してるアンビバレンツが堪らない。今村的オバコン趣味が伊佐山、渡辺を復権させクセ男優…

戦争の犬たち

★★ 1981年10月5日(月) 伊丹グリーン劇場 1人の「スパイ」や「暗殺者」が歴史の歯車を置き換えるというところにロマンがあるのに「傭兵」が主人公故に頭とお尻に在り来たりなドンパチがあり真中もポリティカルなロジックが窺えない。ただひたすらにウォーケ…

誰もがそれを知っている

★★★★ 2019年6月19日(水) テアトル梅田2 ファルハディの過去作に比べ評価は今いちみたいだ。 この監督の映画は、緊密に練りこまれた脚本の綾の一方で、画面造形の統御も特性だと思う。 それには、数人の人物の配置が好ましい。 であるが、本作の前半は結婚…

ガタカ

★★★ 2014年2月5日(水) トビタシネマ ホークの下卑た感とロウの持って産まれた感がドンピシャの『太陽がいっぱい』焼き直しだが、それだけである。寧ろ信じて念じ続けりゃ何とかなる的甘さが後退とも思える。未来社会の多くの意匠は局地的で広がらないが切…

チャイナ・シンドローム

★★★ 1980年4月10日(木) ビック映劇 地球規模のカタストロフィに繋がる案件を小さな器で描いたジャーナリスティックな結実として『カプリコン・1』と双璧とも言える。だが、女性の社会進出の肩肘張った感が主題とリンクし切れないのが映画をぼやかす。レモン…

ウィアーリトルゾンビーズ

★★★★★ 2019年6月19日(水) TOHOソネマズ梅田5 冒頭から、親が死んだって悲しくない…なんてほざくガキが出てくる。 そいつが又、ゲームばっかしてる小僧で、けったくそ悪い。 親が死んでも悲しくないってのはいい。 でも、そいつがゲームボーイみたいな…

スノーピアサー

★★★★ 2014年2月12日(水) TOHOシネマズ梅田4 ステージクリア的ゲームな段取りも重み無きCG列車もどうかと思うのだが、ポン・ジュノのアクション演出に於ける遠近や高低といった距離感把握に相変わらず痺れる。湾曲路線での銃撃戦が白眉。ラストのエ…

真夜中の招待状

★★★ 1981年10月3日(土) 伊丹ローズ劇場 謎を探究する旅路が剣呑な帰結に辿り着く点で『影の車』に通底するが興味は持続しない。サイコな味付けを加味し一応は野村演出は飽きさせない出来だが当然の如く何の感銘も涌かない。ただ小林麻美はひたすら美しい。ど…

町田くんの世界

★★★★ 2019年6月13日(木) 大阪ステーションシティシネマ11 穴が多い映画であり、駄目じゃんってのも十分にわかる。 原理主義的な人物を、あいまいなグレーゾーンで生きるしかない我々の現実世界に投入する。 で、どうなるか…ってのが、おそらくは何とか攻…

ウルフ・オブ・ウォールストリート

★★★★★ 2014年2月15日(土) 梅田ブルク7シアター7 金儲けの手段は皆知ってるがやらないのであって、やる奴らを描いて剛速球をド真ん中に投げ込んだ。リテールから引き受けに至る錬金メカニズムを十全の胡散臭さで描き切りドラッグとSEXで虚実の境界を混…

嗚呼!おんなたち 猥歌

★★ 1981年10月25日(日) ダイニチ伊丹 森崎的猥雑な女性賛歌として語られるはずだったろう世界が、神代のスタンスが定まりきれずに、虚無と狂気と阿呆と律儀を往還する内田裕也に振り回されてついてくのが精一杯に見える。ギャグが上滑りして笑えない漫才を延…

エリカ38

★★★★ 2019年6月11日(火) 大阪ステーションシティシネマ6 投資詐欺ってのが、どうでもいいやって思えてしまうのは、そもそも持ってないもんはサギられるわけないから。 であるから、自称38歳の60幾つかの婆さんが、何億と言う金をサギってカンボジアで…

土竜の唄 潜入捜査官REIJI

★★★ 2014年2月20日(木) TOHOシネマズ梅田1 温い奴らがアナーキーぶってもダメな気がするし、もう三池もクドカンも歳とり保守に成り果て斬新ではなくなった。振りはしても哀しいほど予定調和だ。まあそれでも随所でオモロイ。真面目にアホやってドシラ…

最前線物語

★★ 1981年12月10日(木) 伊丹ローズ劇場 戦争のポリティカルな側面ではなく末端の兵士のミクロな視点から描く。そこまでなら目新しくもないが、ここではそれらが日常の延長として提示される。極限の狂気は存在しなかったかの如くダルな物語が綴られていくだけ…

コンフィデンスマンJP

★★★ 2019年6月5日(水) TOHOシネマズ梅田2 TVシリーズ未見です。 なので、見る気もなかったのだが、「キングダム」で良かった長澤まさみ見たさで見ました。 まあ、詐欺師集団が大物をカモる。 っていやあ、「スティング」、みたいなもんで、この映画…